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せめて兄さんが出張るまではっっ!!!

という唯一の希望を胸に走ってます。
スミマセンなんだか文章が駆け足かも知れませんが、さっさと兄さん目立たせたいという書き手の欲望が駄々漏れなんだなぁと生ぬるい目で見守って下さい。

そんなわけで続きは下からどうぞ。






 この歌を歌うのは、数年ぶりだ。

 過去に一度だけ歌った……彼女が作成した最後の曲。


 あまりにも詞の内容が俺の状況に酷似していて、あれ以来歌うことが出来なかった曲。

 優しい、そして少し哀しい、彼女らしさが前面に出ている詞。




 恋人と共に夢を追い続けて、けれどその恋人は夢の途中で死んでしまう。
 一人残され、うちひしがれていたけれど、二人で過ごした部屋から見える景色は変わらず綺麗で…このまま自分が駄目になってしまったら、死んだ恋人と一緒にしてきたことか全て無駄になってしまうことに気付く。
 残された自分に出来ること。
 それは一人でも夢を追い続けて、恋人を自分の中に生かし続けること。
 恋人はもういないけれど、思い出は消えずに自分の中にある。それを大切に抱いて生きていこうと決心する。




 そんな……哀しいラブソング。




 この歌は、あまりにも俺が置かれた状況に似過ぎていた。
 似過ぎていて、でも俺は歌の中の残された『自分』のように強くはなくて。
 彼女が残した最後の歌さえ、歌えなかった。









 でも今は……何故かわからないが、この歌を歌いたいと思った。




 此処でこの歌を歌えば、俺の中で何かが変わると、そう感じたから。















 
 最後のフレーズを歌い切り、ホウと息を吐いて閉じていた目を開ける。





 ……と。




『!………っっ』

ワアッという歓声と、たくさんの人の笑顔が、俺を迎えた。

「え……?」

 歌う前は俺に歌をけしかけた青年しかいなかった筈なのに、この公園の一体何処にこんなにも人が隠れていたのかと思うくらい、たくさんの人がオレを囲むようにして集まっていた。そのほとんどが笑顔…中には涙ぐんでいる人もいて、俺は現実についていけなくて視線をさ迷わせた。
 そして少し離れた場所にある木の下に、全ての元凶でもある存在を発見して、半ば助けを求める感じで見つめれば、青年はにこやかな笑顔で頷いて近づいて来た。その余裕のある歩き方が何とも気に食わないが、混乱している俺にはソイツに縋るしか他に手立てが無くて、悠然と歩いてくる青年を黙って待っていた。
 すると、青年の方を見ていることに観客達も気付いたのか、これから何が起こるのかと、期待を篭めた瞳で見守っている。

 あの、期待されても困るんだけど……。


 ようやくたどり着いた青年は、俺だけに聞こえるくらいの小さな声で僕に任せてくださいと呟き、了承するよりも先に目前の観客に向き直った。

 ざわめいていた観客達が、一斉に静まる。

 そして青年は持ち前の、万人受けするだろう笑顔と共に、よく通る声でこう叫んだ。


「皆さ~ん!もう一度聞きたいですか~?」

「んなっ!?」

 ちょっと待てなんでそうなる!!…と怒鳴ろうとしたのだけれど、集まった観客の『聴きたい!』という声に、俺の心の叫びは掻き消されてしまった。

「…と、いうことですので、アンコールお願いします」

 お願いしますじゃねえ!?何当然ですみたいな顔してやがんだテメェ!!…と、叫びたいのを我慢して、今も湧く歓声の中でせめてとばかりに青年の耳元で小さな抗議をした。

 しかしソイツは眉一つ動かす事なく、

「この人達を呼んだのは貴方の歌声ですし、ここで歌わないとなると、かなりの顰蹙を買うと思うのですが?」

 第一、こうなる可能性があったからこそ予めチッブ入れを用意して置いたんじゃないですか、と言われてしまえば、ぐうの音も出ない。現に目の前に置かれたワンカップ酒の瓶の中には、既に何枚かチップが投げ込まれていて、このままお開きですとは、とても言い出せない状況になっていた。

「てめ、覚えてろよ…」

 そんな拙過ぎる言い返ししか出来ない自分が虚しい。
 しかも言われた相手ときたら「もう一度聴いてくれと言ったのは貴方ですから、僕は関係ないですよ」と返してきやがった。
 いや、たしかにそうなんだけど、そうなるきっかけを作ったのはお前だろうが!?…と、この状況で感情的に叫べるほど、俺は若くなくて。



 そしてトドメとばかりに、



「いいじゃないですか」

「あ?」

「ずっと、聴いてもらいたかったのでしょう?貴方の望み通りの状況じゃないですか」

 お仕着せじゃない、観客が望んでいるからこそ生まれたこの状況。

「きっと今なら、いくらでも聴いてくれますよ」

 しかも、喜んで。

 そう、したり顔で笑われてしまえば、俺に返せる言葉なんて存在してなくて。

 悔しいながらも、戸惑いながらも、結局根底ではこの状況を喜んでいる自分が居て。






(畜生、俺ってカッコ悪過ぎる……)






 出会ったばかりの奴にあっさり心を見抜かれている自分が、何とも恥ずかしい。

 けれど、スタジオを飛び出した時に抱いていた、言いようのない不安と蟠りは、いつの間にかどこかに消し飛んでいて。




―――音楽に対する楽しさと喜びだけが、俺の心を満たしていた。






悠久が歌った歌は、私が過去に作詞した歌です。
まさかこんな場所で使いまわせるとは思わなかった……(汗)
歌詞の内容は、気が向いたら公開します。




















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