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ね、ねえさん!
これストックしてたやつだからっ!
書いて無いから許してぇぇぇぇぇぇ!!!!←私信


そんなわけで続きです。
更新できないサイトに私の心が負けた。。。。。

これでもうストック0……次の更新は来月確定。





結局、あの後も観客に煽られるように歌を披露し続けてしまい……更に持ち歌だけじゃなくリクエストまで受けたりしていたら、気がつくと夕方になっていた。天気が曇りだったから気付きにくかったってのはあるだろうが、それ以上に俺が歌うことに夢中になっていたというのが、最大の理由だろう。


締め括りとして、この路上ライブのきっかけにもなったバラードを歌いきって、その日のライブは終了となった。





「凄いですねー、チップが溢れちゃってますよ」

ワンカップ酒の瓶に入り切らず、地面に散らばっている小銭を楽しそうに拾い集めながら、青年が呟く。
俺は花壇の淵に腰掛け、観客の一人から貰ったスポーツドリンクを勢いよく喉に流し込む。身体はクタクタだったけれど、心はやり遂げたという充足感で満たされていた。

「観客の皆さん、笑顔で帰っていかれましたね」

「ああ、そうだな」

最近のライブではまず見れなかった、観客の表情。
金も人気も無い俺達のバンドがライブをやる時は、たいていいくつかのバンドを時間毎に区切って開催されるライブに参加する。その方が会場費用が安く済むし、チケットを裁く手間も多少軽減されるからだ。けれど観客からはいつも「さっさと終われ!」みたいな視線を向けられていた。
観客のほとんどは俺達のバンドじゃなく、俺達の後に出番を待ち構えているバンドが目当てだからだ。
虚しかった。
一番テンションが上がる筈のライブ終了後は、いつも通夜みたいだった。
何のために練習して、何のために続けているのか、ライブを熟す毎にわからなくなった。
でも今日は……久しぶりに、歌っていて良かったと、幸せだと思った。
俺は、この充足感を味わうのが好きで、バンドを続けたんだ。



それを思い出すきっかけをくれたのは……



「ありがとな」

小銭を集める背中に、多少の照れを感じながらながら礼を言う。冗談無しに礼の言葉を口にするのは、なかなかに恥ずかしいものがあった。

「…あの、御礼を言われるような事をした覚えはありませんけど?」

小銭を抱え、不思議そうに首を傾げる。まあそうだろうな。

「お前に無くても俺にはある。だから…ありがとうな」

「はあ…ドウ、イタシマシテ?」

何故疑問系なんだ。こっちがしおらしく礼を言ってんだ、素直に受け取りやがれ。

「…どちらかというと、僕が御礼を言いたいくらいなんですけど」

集めた小銭を俺に手渡しながら、青年は苦笑する。

「なんで?」

「たくさん歌っていただきましたから」

まあ、半分以上は成り行きですが。

「僕、生のライブを見るのは今日が初めてでしたので」

「へ?そうなのか?もしかして、路上も無いとか言う?」

「ハイ、はじめてです」

「…お前って実は、すっげえ金持ちの一人息子とかいうオチ?」

金持ちのボンボンなら、基本送迎の車がどこに行くにも着いて回るだろうから、路上ライブに遭遇する機会なんてないだろうと勘繰っての発言だったのだが、ソイツは俺の考えを即座に否定した。

「いえ、そうではなくて。どうも僕は太陽に嫌われているみたいで……実はこうして雨が降らずにいるのも、珍しいくらいなんです」

さすがに雨が降ってたら路上ライブなんて早々しないでしょう?

「…………。」

確かに雨の日にやったところで客は殆ど集まらないし、雨の音に演奏を邪魔されるから、当然っちゃー当然の意見なんだが……それってお前どんだけ雨男なんだよってツッコミたいんだが。
でもやっぱり嘘を言ってるようには見えない…つーか、物凄く真面目な顔で答えられてしまったので、ツッコミも入れられなかった。
内心俺が困惑しているなど露知らず、青年は無邪気に笑いながら話を続ける。

「いつかは見てみたいと思っていたので、貴方が歌手だと聞いた途端、居ても立ってもいられなくなりまして……ついあんな強引な行動に出てしまったんです」

「はあ…」

てかコイツ、一応自覚あったのか。
あれはマジで新手の人さらいかと間違いそうになるくらい、一種危機迫る勢いだったからな。相手が俺だったから良かったものの、警戒心の強い奴なら半引きずられ状態で連れて来られた時点で叫んでても可笑しくなかった。

「始めは強制的みたいでちょっと良心が痛みましたけど、でもそれ以上に嬉しくて……特に最初と最後に歌った歌は、とても気に入りました」

「あ~…そりゃ、ありがとさん」

こうも手放しに褒められると、何だか照れる。まして相手はほんの数時間前に会ったばかりで、しかも俺に新たな一歩を踏み出すきっかけをくれた奴だ。悪い気はしないが、なんだかくすぐったい。

「ええ。あまりにも気に入ったので、覚えちゃいましたよ。特にここのフレーズ……」


そう言って、何気なくサビの部分を口ずさみ初めて―――









吹っ飛んだ。









正直、身体が、震えた。
俺とはまるで違う声質。
秀麗な顔付きの青年から紡ぎ出された、声。
バランスは良いが全体的に華奢で、一見頼りなくも見える身体からは到底考えられない、伸びやかでハリのある力強い歌声は、俺を一瞬で魅了した。

コイツは、ライブを見るのは初めてだと言っていた。
つまり、歌は好きだがそういった世界には、一度も関わったことがないということだ。



ならば、コイツの声は―――紛れも無い天性のもの。



「 っ 、」

気が付くと俺は、誘われるようにソイツの歌声に合わせて歌っていた。
異なる二つの歌声が絡み合い、重なり合い、絶妙なハーモニーを生み出す。



なんだ、これ……音が、気持ち良い。



これまで一度も味わったことのない、不可思議な感覚。
俺はダブルボーカルの経験は殆ど無いからよく判らないが、これはもしかして……実は凄いことなんじゃないだろうか。
俺が合わせて歌い出したことに青年は一瞬驚きを見せたが、すぐさま嬉しそうに笑みを深め、俺の声に負けないよう、更に声を張り上げた。






最後のフレーズを歌い切り、ふうと満足そうに息を吐いた青年に、俺は興奮のあまり飛び付いた。両肩に手を掛け、華奢な身体をガクガクと揺さぶる。

「スゲエッ!お前すげえよっっ!!」

「ハ?何が、ですか?」

案の定、青年は訳がわからないとばかりに小首を傾げる。そりゃそうだ。コイツにしてみれば、さっきのセッションは、鼻歌の延長にすぎないのだから。
だが興奮していた俺は、それに気付かない。

「お前、めちゃめちゃ歌上手いじゃん!なんか実はなんか習ってるとか?」

「え、あ、いや……歌は好きですが、特には」

「マジかよ!?俺なんか金と時間掛けてようやくなのにっ!」

「はあ、そうなんですか…」

俺の勢いに気圧されたのか、それとも馬鹿高いテンションについていけないのか、幾分引き気味な青年の態度に、俺はあることを思いつく。
 多分、イケる。
 根拠の無い確信だったが、俺は心の中でグッと拳を握った。

「お前今、歌うの好きだって言ったよな?」

「はぁ、確かに音楽は聴くのも歌うのも好きですけど……」

 なんだかつい数時間前に似たようなやり取りをしたような気もするが、まあいい。

「どっかのバンドと契約してるとかは?」

「あるわけ無いでしょう」

「うし、なら問題ないな」

「あの……何が、デスカ?」

 多分この時の俺は、誰が見ても意地の悪いとしか思えない笑みを浮かべていただろう。
 テンション上がってても、それくらいの自覚はあった。
 というか俺、負けっぱなしっての好きじゃないんだよ。

「お前、今度のライブに俺と出ろ」

「ハ?」

「来週日曜19時本番。練習は月・水・木・土、コレ練習場所に使ってるスタジオな」

 パパッとチケット裁きで鍛えた素早い手つきで、鞄からライブのチラシと練習スタジオの名称と地図が書かれた名刺を手渡す。

「え、あの……?」

「練習は13時から3時間で遅刻厳禁、遅れたら罰金でスタジオ代の三分の一を払うこと。次の時に曲目のスコアコピー渡すから」

「え?え?え?」

「あ、そういやお前、名前は?」

「あ、はい。カイト、ですけど」

 突然の展開に混乱しているのか、出された質問に戸惑いながらも素直に答える青年―――カイトに、俺の機嫌は更に良くなる。

「ンじゃカイト。宜しくな♪」

 あ、俺これからバイトだから、と自分でもわざとらし過ぎるな~と思いながらも、相手が混乱しているうちに勝手に約束を取り付けると、俺は笑顔のままサッと踵を返し公園の出口へと走って向かう。本当は今日バイトなんか入れてないのだが、事実などカイトにはわからないだろう。
 俺は、その脚でスタジオに戻ることにした。
 バンドのメンバーに謝って、そしてカイトのことを話すために。

(なんか、久しぶりに楽しくなりそうだ……)

 カイトには悪いことしたかな~と少しばかり罪悪感が生まれたが、それ以上にアイツとセッションするのが楽しみで仕方が無い。
初合わせ、しかも一、二度聴いただけの歌でアレだけのものになったのだ。
練習をすれば絶対、もっと凄いことになる。
 かなり強引に約束を取り付けたから来ない可能性もあるが、几帳面そうなアイツのことだ。了承はしていなくても、何だかんだと気にしてまんまとスタジオにやってくるに違いない。そこを捕獲してしまえば、後はこっちのものだ。アイツの大好きな歌をコレでもかと聴かせてやって、口八丁手八丁歌百丁で乗せてしまえば、きっと上手く行く。

「あ、ツインボーカル用にスコア起こし直さねぇとな~」

 普段なら面倒で眉を潜めそうになる作業も、今は楽しみでしょうがない。
 早くアイツと歌いたい。
 もっともっとセッションしたい。



 誰かと一緒に歌いたい……こんな気持ちは、生まれて初めてだった。

 

















             ◆◆◆◆◆◆◆





   













 ワケも判らず立ち尽くしている間にターゲットはいなくなり、いつしか空から、ポツポツと雨が降り始めていた。
 未だ呆然としていてあまり動かない頭でも、傘を差すぐらいは出来るらしい。ターゲットが消えた方向を見つめたまま持ち慣れた黒い傘を広げ、人気の無い公園に一人立ち尽くす。

『今日びの人間ってスゲェな~』

『ホントホント。カイト兄、完全に負けてたね』

 そうしていると、どこからともなく現れた二匹の猫が、音も無く両肩に降り立った。
 いわずもがな、レンとリンの仮の姿だ。

『『で、どうするの?』』

 両耳側からハモリながらの問い掛けに、僕は大きく溜息を吐きながら返す。

「どうするも何も……行くしか、無いんじゃないかな、この場合」

 僕は、彼を判定する『死神』だ。
 このまま生かすか、殺すか。
 最終的な判断は既についているようなものだけれど、それでも観察するのは僕に化せられた義務なワケで……そのためにはどうしても彼に近付かなければならなくて。
今回のことは、ある意味絶好の機会でもあるのだ。
 ちょっと……いや、かなり想定外な事態ではあるけれど。

『フ~ン。じゃあカイト兄、ライブデビューするんだね』

『死神なのに人間界でライブデビューかぁ~もしかしたら初かもしれないよ♪』

「やっぱり……そう、なっちゃうのかな?」

 それって死神として、大丈夫なんだろうか。

『こんなの聞いたこと無いから何とも言えないけど……ま、イイんじゃない?人前で歌っちゃ駄目って定められてるわけじゃないし』

「でも、物凄く目立つと思うのだけれど……」

 普通、僕達死神は目立たず行動するのが鉄則なんじゃないだろうか。

『いーんじゃね?面白そうだし』

 俺らも観に行くからさ!あ、もちろん人の姿でな~なんて、思い切り人事のような……いや、人事なのだけれど面白がっているようにしか見えない二人(二匹?)の態度に、僕はそっと息を吐きつつ、雨でぬかるんだ地面を歩き始めたのだった。
 







こ、これでようやく話が動く……でも続きの更新は当分先ですゴメンナサイ!




















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