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後一話か二話くらいかしら・・・(汗)
リンもどうやらちっちゃいお兄ちゃんにメロメロらしいです。

ぱかって口を開けてご飯持ってる子供って可愛くないですか?





「おいしい?」

「ん!」

 ティースプーン(この家に幼児用のスプーンは存在しなかったため)で差し出された、牛乳でふやふやにふやけたシリアルを、ひな鳥よろしく小さな口を精一杯開けて食べる仕草は、まさにぷりちー。

(カワイィィィィィィィィッッッ!!!!!)

 レンに抱きかかえられながら登場した兄の姿にすっかり虜になってしまったリンは、率先して朝御飯食べさせ係を買って出た。
 椅子に座った自分の膝の上に小さな身体を乗せ、甲斐甲斐しくも一口ずつ運んでは食べさせてやると、カイトは満面の笑みで『おいしい』を伝えてくる。
実際に与えているのは在り来たりな単なるシリアル(シュガー入り)にすぎないのだが、その向けられる極上の笑みに、なんだか極上の朝食を食べさせてやっているような気分になった。

「もっと食べられる?」

「ん!ちょーだいりんねーた」

「あああああ何これホンットにカワイィ食べちゃいたいくらいッッッッ!!!!!!!」

 襟元にタオルを巻かれ(涎掛け代わり)、パカッと口を開けてスプーンを待ち構える雛鳥カイトに、リンは辛抱たまらず両手でギュギュッと抱き締め頬ずりをする。突然抱き締められたカイトは目を白黒させるが、リンはまったく気付いていなかった。

「……ハイハイそこ、朝から騒がない悶えない。レンも何一人突っ伏してるのよ」

 そんな妹の姿にメイコは冷静な突込みを入れると、ついでに斜め横で一人テーブルに突っ伏しているもう一人の弟にも突っ込んだ。

「―――いや、あまりにも普段のカイト兄とギャップがあり過ぎてどう対処して良いやら」

「ホントだねーお兄ちゃん可愛い~♪」

 普段はバラバラな朝食を食べている家族も、今朝は全員右倣えでシリアルの牛乳がけ。
理由はただ一つ―――誰も朝食を作れる者が居ないからだ。
 サラダもトーストも無い。かろうじて冷蔵庫にあったオレンジだけが、食卓に唯一の彩を添えていた。

「完っ全に幼児化してるわね、この子」


 試しに幼くなったカイトにそれぞれの名前を訊いてみると、返ってきたのはいつもの呼び方ではなく。
 


 メイコは『めーちゃ』

 ミクは『ミーねーた』

 リンは『リンねーた』

 レンは『レンにーちゃ』

 だった。


 何故メイコのみちゃん付けなのかは不明だが、自分達がカイトにとって『家族』だという知識は、一応残っているらしい。
 だが、それ以外はまったく不明。
現在の彼は行動も何もかもが幼児そのもので、今もリンの膝の上で差し出されたオレンジに被りつき、口中をベタベタにしながら笑っていた。
 そこに、主夫業に燃えていた彼の姿は何処にも無い。

「ホント……微笑ましいと言うかなんと言うか」

「「「うん。可愛い」」」

 いやうん、それはもう十二分に判ったからイチイチ同意しなくて宜しい。

「それにしても結局マスターは、カイトを幼くしてどうするつもりだったのかしらね~」

 唯一残されていた封とに書かれていた内容も理解不能だし……と、迎え酒のつもりなのか、朝食を食べたばかりだというのにワンカップ酒に口を付けながら(当然誰も止めない)、メイコが眉を潜める。

「さぁ、」

「せめてちゃんと理由話してくれればいいのに……こ~んな可愛いカイト兄なら大歓迎だし♪」

 そう言って、リンは再びカイトを抱き締め頬ずりをする。
 どうやら彼女はレンとは違った意味でミニマムカイトがお気に召したらしい。

「コラコラ、あんまり不用意な発言をしない」

 普段から影が薄くて薄くてあまりにも薄過ぎて空気と化しているマスターだが、れっきとした自分達のマスターであり、存在感薄いクセに時々とんでもなく突飛な行動をする人でもあるのだ。
 あまり下手なコト言うと、カイトは幼児化したまま放置される危険性もある。
 いくら見た目が可愛らしくてもそれだけはちょっと勘弁してもらいたいと、メイコは本気で止めに入った。

「あのロクデナシマスターのことだから、今回のこともきっとロクでもない考えの上で起こしたんだろうね♪」

 ホヤホヤと笑いながらさり気なく黒い言動を吐くミクに、面々は顔を引き攣らせる。

(((そうだった。この子(ミク姉)は(通常の)カイトお兄ちゃん大好きっ子だったっっ!!)))

 見た目ではまったく気付かなかったが、どうやらミクはさり気なくかなり怒っているらしい。
 まぁ考えてみれば、ミクが納得するほどのバラエティ豊かなネギ料理は、日々ネギ好きな妹につき合わされているカイトにしか出来ないだろう。
 しかしその兄は現在幼児化しており、当然料理は作れない。
となると、異常なほどネギに執着を持っている彼女にとっては、今回の事件は由々しき事態なワケで。

(((マスター…ネギでボッコボコにされなきゃいいけど)))

 怒らせると怖いのはメイコだが、その実本気で怒らせて怖いのは、ミクだったりする。
 天然色全開中の彼女が本気で怒る事態は早々あるものでは無いが、過去に一度だけ……そう、裏庭の家庭菜園(ネギ畑+その他野菜)を何者かによって荒らされた時の彼女の怒り様は、メイコをも凌ぐほどの恐ろしさだった。
 それ以来、家族の中では『ミクを本気で怒らせてはならない』という、暗黙の了解が立てられているのだが―――もしかしたらコトの進みようによっては、再びあの大魔神が現れてしまうやもしれない危機的状況に、メイコ・リン・レンは何処に行ったとも知れぬ我が家の主にそっと両手を合わせたのだった。



 
 まぁ、それはともかくとして。


「それにしても、オレ等のボディをわざわざカスタマイズさせるなんて、突発的な考えじゃ出来ないよな?」

「そうだね~考えてみればお兄ちゃんのボディを移し変えるだけじゃなくて、思考パターンまで幼児化させるなんて、専門家じゃないマスターじゃ、とても無理だよね?」

「確かに。それこそ事前に本社の開発部に提案でもしとかない限、り、……」

 通常のボーカロイドシリーズは音楽ソフトに過ぎないが、自分達の身体はプロトタイプとして作られた特別性のボディであり、二次元世界で作り出すものとはワケが違う。
体系その他を弄るにしても、アンドロイドなどの専門的な知識がなければ、到底無理な話なのだ。







 そこから導き出される答えは、ただ一つ。







「…………。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「?………」


 俯いたままピタリと動きを止めた面々に、一人カイトは首を傾げる。
 









 そして、次の瞬間。










「だぁぁぁぁぁそういうことかあの腐れ開発者アアアアアアアアア!!!!!!」

「絶対マスターの話に悪乗りして調子こいてやりやがったに違いねぇぇぇぇ!!!」

「最っっっ低!!!何考えてんのよあの人達ぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

「お兄ちゃん可哀想ッッ!!!汚い大人の実験体にされちゃってッッッ!!!!」


 火山の噴火の如く一斉に叫び声を上げた面々に、小さなカイトはパチパチと目を瞬かせた。







『結論』


――― 今回の騒動は、マスター単体の思惑だけではなかったらしい。







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