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お試しです。
あまりにも出るか不明なので、戒めを篭めて掲載。
出たら本当に奇跡だ。。。

[注意]
・この話はマス×カイです
・設定まだまだあやふやです(今後完成するまでに変わる可能盛大)
・主人公の名前は『紘也(ひろや)』というらしい←オイ
・KAITOはちゃんとボーカロイドですが、若干姿に問題が・・・・・・


それらを踏まえてご覧下さい。






 祖父が死んだ。
老衰とか病気とかではなく、事故だった。
しかも対面衝突じゃなくて単純な運転ミスで、路面には生々しいタイヤの跡が残っていた。
時速100キロ近い速度でガードレールにぶつかった車は、無残なまでに大破。それに乗っていた祖父も運転手も、即死だった。

結果として子供や孫達に残されたものは、曾祖父の代から受け継がれて来た会社と、デカイ屋敷と莫大な財産、そして……デカイ屋敷以上に広大な『庭』だった。
正直、俺的には庭よりも『森』と言った方がしっくりするんだが、周囲の者達――主に屋敷の管理を任されていた人達曰く、ここはれっきとした庭らしい。
でも、たかが庭には野鳥とか動物は住み着かないと思うんだけどな。


まあ、そんなわけで。 
大学卒業したての、社会的にも経験的にも年齢的にも若輩者であるはずの俺の下に、突如として『後継者』というものが転がり落ちて来た。
まさに寝耳に水とはこのことだ。
昔から祖父とは妙にウマがあって、数多くいる――あまりにも多くて把握できてない――孫の中ではそこそこ可愛がられていたからといって、何人もいる実子の末っ子、しかもあっさり他家の娘婿に入ってしまった息子の子供を、業界ではそれなりの地位を確立している、名の知れた一族を纏める後継者に定めるとは誰も予想していなかったし、何より俺自身予想も願望すらしていなかった。
ハッキリ言うなら、真っ平ゴメンだった。
なんつーか、あれだ。
金持ち気質漂う独特の雰囲気ってものに、根本から身も心も庶民な俺は、全然まったく馴染めないのだ。
だから、実を言えば祖父と会えるというオプションがなければ、一族の集まりにだって行きたいと思わなかった。そーゆー面で言えば、おそらく俺の父親も同じだったのだろう。末の息子とはいえ名家の生まれだというのに、親父にはそういった上流階級に漂うハイソな雰囲気みたいなものは、カケラも無かった。むしろおっとりとしていて、いつでも温厚。俺は生まれてこの方、親父に物凄い剣幕で怒られたことすらなく、怒る時もおっとりと、何故怒られているのかという理由を、子供にも理解できるよう説明しながら静かに怒ったものだ。
まさに婿養子の名の通りマスオさんみたいな父親で、だからこそ俺はいつまで経っても一族の奴らに慣れなかった。


とにかくそんなわけでまったく気がならなかった俺は、弁護士に突き付けられた遺言状なるものを戸惑いもなく突き返した。
それはもう潔くあっさりと。
いやー、その時の弁護士の唖然とした表情は実に見物だった。
どうやら俺がその場で辞退するとは、思いもしていなかったようだ。
あの、本当にいいんですか?と幾分呆けた顔で再確認され、俺も躊躇いなくハイと返した。別に家名も会社も家も欲しくないし、まぁ金は欲しいがそこまでスゲー財産はかえって怖いし、第一頭はそこそこ良くても所詮庶民でしかない俺なんかに、家とか会社の切り盛りなんぞ到底無理な話なのだ。
少し考えればすぐに判るはずだと思うんだが……
そんな俺の素朴な疑問は、続く弁護士の言葉で解消された。

「ハイ……?」

どうやら弁護士が驚いたのは、俺が跡を継ぐのを断ったからじゃなかったらしい。
なんと祖父は、俺が後継者の件を即行断ると、予め予言していたというのだ。
おかげで今度は俺が、マヌケ面を披露する羽目になった。
今頃天国で、豪快に笑い転げていることだろう。
唖然としたまま硬直している俺に、弁護士は内ポケットからもう一通、白い封筒を取りだし俺の前に差し出した。

「御代から、貴方が家督相続を拒否した場合、こちらの遺言状を有効にするようにと言い遣っております」

視線で開けても良いかとたずね、頷くことで了解を得ると、俺はしっかりと封をされたそれを開き、中に納められていた長い長い巻物のような手紙に目を走らせる。
確かにそれは祖父本人が書いたもので、あまりにも達筆過ぎて読むのに結構な時間がかかった。
 家督は実子の長男に譲り、その他会社や財産の細かな分配などが書いてある部分は斜め読みで飛ばした。その中には俺の親父も僅かだが遺産を相続するように記してあったが、多分親父は断るだろう。とことん欲が無いのだ、あの人は。



―――そして、その長い長い遺言状の、最後の一文。



「んなっ!?」





多分それが、すべての始まり。





















 [壱]



 前にも言ったように、祖父の本宅は本当にデカい。
 総面積はもちろん、延床面積も半端ない。
 土地も広大で、入口の門から車でゆうに5分は走る。
 以前親父に「これって何処までがウチの土地なの?」と訊いたら、見渡せるだけと返されて心底驚愕した。だってさ、地平線が見えちまうんだぜ?いくらここが田舎だからって、それはどうよと思うのも無理ないだろう。
 だからか、本宅に到着するまでの道筋には、何箇所か別荘のような建物が建てられている。
 それだって一般家庭の家よりもデカいんだがな。


 そんな本宅の門を車ではなく愛用のマウンテンバイクで潜り、教えられた通り本道を逸れて細い脇道を進むと、その先に辿り着いたのは別荘のうちの一つだった。
 随分と昔に作られたのか外観はかなりレトロちっくで、壁にはびっしりと蔦が生い茂っていた。けれどしっかりと手入れはされているのか、今にも壊れそうな雰囲気は何処にもなく、むしろ独特の『古きよき時代』を醸し出していて、俺は一目で気に入った。

「紘也様、お待ちしておりました」
 そんな鹿鳴館のような別荘の玄関前で俺を出迎えてくれたのは、一人の老婆……というか、生前祖父が絶大な信頼を寄せていた女中頭のトシさんだった。 
 トシさんは祖父同様、たくさんいる孫達の中でも特に俺を可愛がってくれて、内緒でよく遊んでくれたりお菓子をくれたりして、俺も大好きだった。
「トシさん、お久しぶり」
「ハイ、紘也様もお元気そうで安心しました」
 俺はマウンテンバイクから降り、皺だらけの顔を更にクシャクシャにして出迎えてくれたトシさんの小柄な身体をギュッと抱き締める。小さい頃はこの小柄な身体に抱っこしてもらっていたのに、随分と大きくなったなー俺。当たり前だけど。
 先日執り行われた祖父の葬式の時は、一族全員どころか使用人達もがバタバタしていて、話すどころか顔を合わせる余裕すらなかった。何せ一族の家督が突然死したのだ、無理もなかった。
「それで、来て早々なんだけど……」
「ハイ。大旦那様より仰せつかっております」
 あ、やっぱりそうなんだ。
 遺言状にしか書かれていなかった筈の内容をトシさんが知っているということは、祖父は生前の時点で既に話をつけていたのだろう。
 まったく、俺の行動を先読みしないでくれといいたい。
 それだけ可愛がられていた証拠なのかもしれないけど。
「ですが、本当に宜しかったのですか?紘也様がその気になれば…」
「いーのいーの。俺には上流階級の皆様とお付き合いするほどの根性も腹黒さも持ち合わせて無いから」
 第一、婿養子に出ちまった末っ子の子供が祖父の遺産を譲り受ける義理なんか無いのに。
 胸中で一人ごちながら、俺は目の前の別荘の奥にある巨大なドーム型の建物に目を向ける。
「で、あれがそうなの?」
「ハイ。そうでございます。大旦那様がこよなく愛し、最後まで御心配になられていた温室です」
後継者になることを放棄した代わりに、俺が祖父から譲り受けた遺産。
 それが、この温室だった。
 祖父がなんでこんなものを俺に託したのかはわからない。元々本家の敷地内にあるのだから、跡を受け継いだ長男の管理下に置けばいいのに、何故か祖父はわざわざ此処の一角だけを俺に譲ると記していた。本家の敷地内にある分、売ることも他人に譲ることも出来ないものを、俺にどうしろって言うんだ。
 あの祖父のことだから絶対に何かあるとは思うが、所詮凡人でしか無い俺には祖父の考えなんて皆目見当が付かない。
「お忘れかもしれませんが、御幼少の頃に一度だけ、紘也様は此処に足を踏み入れたことがあるのですよ?」
「え!マジでっ!?」
 拙い…全然覚えて無い。
「憶えていらっしゃらないのも無理はありません。まだ四歳にも満たないほど、お小さかったですから」
「あ、そうなの?なら、いいんだけど…」
 そう言われてホッとするが、何故か心に小さな針がチクリと刺さる。

 なんだ?

 不思議に思うが、心当たりなんて当然無い。
「……仕方が無いことですが、もしかしたら『彼』はとても落ち込むかもしれませんね」
「―――彼?」
 『彼』とは、一体誰のことだ。
 再び出現した疑問ワードに、俺は首を大きく傾げる。
 そんな俺に、トシさんは含むような笑みを浮かべると、
「口で説明するよりも、実際にお会いした方が良いでしょう。それが忘れてしまった貴方への罰にもなるでしょうし」
 とだけ言って、それ以上教えてくれなかった。
 畜生、さすが祖父お抱えの女中頭。一筋縄ではいかないらしい。
 こうなったら絶対に口を割らないことはわかっていたので、俺はそれ以上と訊く事を諦めた。人間、ナニゴトも諦めが肝心だ。
 温室の、特殊なガラスで出来たドアを潜り抜け中へと入ると、名前の通りそこは外気温よりも高く暖かだった。けれど暑いというほどでもなく、どうやら湿度管理もされているようで、外よりも快適だった。
「……なんか、ジャングルみてぇ」
 熱帯雨林系の草木があるわけではないが、天井に届きそうなほどに育った木々や、地面一面に生えた草花が俺達を無言で出迎える。そんな温室の中に作られた…と言っていいのか、半ば獣道と化した細い細い道を、トシさんは躊躇いもなく突き進んでいった。一瞬付いていくのを躊躇したが、此処で怖がったところでこの温室は既に俺に継承されたものなのだ。俺が把握していなければ、此処は朽ちてなくなるしかない。
 多少面倒だなぁとは思うが、こうも勿体ぶられると興味も湧いてくる。
 それに何と言っても、あの祖父がわざわざ俺に託したものだし。
「―――男は度胸って、よく言ったモンだよな」
 どちらかというと、俺は小心者なんだけど……と呟いたところで、返す声は無い。
唯一返してくれそうな人は俺を置いてさっさと歩いていってしまっていて、既にかなりの距離が開いている。年寄りながら足の早い人だ。

 あの、俺を案内するんじゃなかったんですか、トシさん。
 
 そんな抗議も当然彼女には届かず。
 結局俺は、後に続いていくしかなった。



 無造作に生えた背の高い草を掻き分けて奥へと進む。
 むせ返るほど緑の香りがしたが、不思議と不快なものではなかった。むしろ幼い頃『庭』で遊んだ時みたいだなーと、なんだか忘れかけていた幼心がムクムクと湧きあがって来る。
小さい頃から大きな行事がある度にここに連れて凝られていた俺は、上流階級にすっかり染まってお高くとまっていた他の孫達とはどうしても馴染めなくて(というか、あっちが俺を嫌っていた)、よく一人で屋敷内や庭を探検しまくっていた。特にここの庭はそこらの山なんかよりもずっと人の手が入ってないし、野鳥や動物、虫もたくさんいたから、子供の俺にとっては宝箱みたいな場所だった。
「そういや、一回だけ迷子になったっけな」
 確か半野生化した小さな子ウサギを追いかけているうちに、帰り道がわからなくなってしまったのだ。それでもしばらくは一人で戻ろうと必死にさ迷い歩いていたのだが、右を見ても左を見ても似たような景色が広がるだけで、仕舞いには歩き疲れてその場に蹲ってワンワン泣いてしまった。多分母親に『どうしても困った時は大声を上げて泣きなさい』と教えられていたからだと思う。そうやって意思表示をすれば、必ず誰かが助けてくれるからって。もっとも、それが許されるのは小学生に上がるまでの話で、以降は『男の子がすぐに泣くんじゃありません!』と、かなり矛盾したことを言われたんだがな。
 それはイイとして、その時は母親に言われた通り大声で泣いて、そして……
「―――あれ?誰かが、助けてくれたんだよ、な?」
 誰だったろうか。
 迷子になったことは憶えているのに、そこが思い出せない。
 トシさんじゃなかったことは憶えているんだが……


 と、その時。



「――――― 、」

    

 耳に、誰かの歌声が飛び込んできた。



 一瞬鳥の鳴き声かと思ったが、声は紛れもなく完成された旋律を紡いでいて。
 柔らかで、けれど決して儚げではない力強い歌声。
聴く者を魅了する、不思議な魅力を持ったその歌声に。
 記憶の彼方に忘れ去っていた思い出が、一気に溢れ返る。



『大丈夫、です、か?』
 一人蹲って泣いていた俺に突如として降りて来た、柔らかな声。
 柔らかな眼差しと人間離れした綺麗な顔立ちに、一瞬俺は、泣いていたことすら忘れた。
『……お兄ちゃん、だぁれ?』
 心細さが一気になくなって、次に生まれたのは純粋な興味。
 この人は誰だろう。
 なんでこんなところにいるの?
 どんな小さなことでもいいから、この綺麗な存在のことを知りたかった。
 蹲っていた身体を起こし、目の前の長い足に絡まるようにしがみ付いて訊ねると、その人は少しだけ困ったような顔をしながら、それでも素直に答えてくれた。
 頭を撫でてくれる手が、とても優しい。
『俺ですか?俺は……』



「……カイ、ト?」

俺の無意識の呟きが聞こえたのか、歌声の主はハッと目を見開くと、俺の方に目を向ける。
すらりと伸びた手足に乳白色の肌、サラサラの青い髪、透き通る海のようなトパーズの瞳。
そして、その背に生えた―――一対の青い大きな翼。
全てが過去のまま、まるでそこだけ時を止めていたかのように昔と寸分も変わらない柔らかな笑みを浮かべ、そして………

「マスター!!!」

俺の度肝を抜くに十分な単語を叫びながら、腰掛けていた樹から飛び降りた。


こういうシチュエーションも、天使が舞い降りたって言うんだろうか―――そんな悠長なことを頭の片隅で考えながら、俺に向けて勢いよくボディアタックをかましてきた青年……カイトに押し倒されるような形で、俺は地面に倒れこんだのだった。



出なかったら夏コミか、インテにでも出します。






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