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すみませんギリギリ当日に間に合いませんでしたorz

超突発、追い詰められた状態なのでもうノーコメントで。



 7月7日 本日七夕
 全国の保育園幼稚園では、かの有名な七夕ソングが歌われているだろう日。
 例に漏れず、ぼかろ家からも合唱という形でその歌が流れてきていた。








 ただし、本日のお天気状況=曇り






                    卓上のMilky Way



「……不毛だわ」

 不機嫌も露に縁側の柱に取り付けられた笹飾りを突くメイコに、カイトは苦笑を零しながら、江戸切子製の二合徳利に入れた冷酒をそっと差し出す。

「まぁまぁ、流石に天気まではどうしようもないんだし」

「それはわかってるけど、やっぱりこういうものは実物を眺めてこそ価値があると思うのよね、私」

「だよねーミクも見たかったなぁ~天の川」

 鮎の塩焼きを頭から丸齧りしながら、どんよりと曇った空を見上げる。
 見て判るとおり、天の川どころか星一つ見えない夜空に不満は募る一方だ。
 そんな、可愛い顔してなかなかに豪快なミクの食べっぷりに内心ギョッとしながら、レンは笹の葉に乗った紅白二色のお団子に手を伸ばした。その横では、リンが縄のように縒り合わせたお菓子のようなものを食べている。

「カイト兄~食べておいてなんだけど、なんで夕飯なのにお団子とかお菓子とかがあるの?」

「えっと、美味しくない?」

「や、美味しいけど」

 見た目や歯ごたえは一種かりんとうのようなのだが、食べてみるとまったく甘くなく、醤油で味付けしてあるので、どちらかというとお煎餅のようだった。油で上げてあるので脂っこいかなぁとも思ったが、意外とアッサリしていて後引く美味さだ。

「今日は七夕だから、全部七夕にちなんだものを作ってみたんだ。でもそれ……索餅(さくへい)っていうらしいんだけど、それだけよく判らなかったから俺流にアレンジしちゃったんだけど」

美味しいなら良かった、とお盆を抱えながらほにゃりと笑う。

「……なんかカイト兄、ますます主夫道極めてない?」

 普通七夕でここまでこだわらないだろ?と、レンは縁側に置かれた七夕飾りの群を指差す。
 その先にはお決まりの笹飾り―――だけでなく、大き目の笊には初物の野菜・果物や粟・きびの穂、真菰や藁などでつくられた馬、更にその横にはお団子とお赤飯が供えられていた。
 それだけならまだしも、カイトは日も昇りきらないうちから、マスターの御先祖様のお墓を綺麗にしに行ったり、虫干しをしたりと、一日フル活動していたのだ。
 話を訊くだけでも十分うんざりするのだが、当の本人はというと相変わらず朗らかな笑みを湛えながら。

「えーそうかなー?俺は楽しいからやっただけなんだけど」

 事も無げにそう返すだけだった。
 それでいいのか長男。
 男としての威厳は何処に行った。


 ……いや、カイトに限っては初めから微塵も備わっていなかったが。


「い~じゃないのー本人が楽しんでるなら」

 僅かな時間で二合徳利を空にし、プラプラと揺らし当然のようにおかわりを催促する姉に、カイトは心得たとばかりに立ち上がり、ソレを持っていそいそと台所へと消えた。
 その後姿はまさしく『オカン』で、黙って経ってれば見目はいいのに…とリンはちょっと涙ぐんだ。
 『優しい兄』というものは、妹ならば誰しもが一度は願うものだろう。
 優しいという点では、我が家の長男は文句なしのぶっちぎりだ。
 だがそれ以上に望んでしまうのは『カッコイイ兄像』なのだ。
 なまじ元がイイだけに、あの兄の主夫っプリはあまりにも勿体無く、全てを台無しにしている感がアリアリだ。
 過去に一度、リンはあまりの主夫に浸りきった兄の姿に辛抱たまらなくなって、『長男改造計画』を強制実行してみたことがある。
しかしカイトに染み付いた主夫根性はそう簡単に抜けてはくれず、あの手この手で手段を投じてみたものの、結局改善されなかったという苦い経験があるのだ。
 近所の奥様方も太鼓判を押す、筋金入りの主夫。
 これは多分、カイトの回路に深く根付いてしまっているに違いない。

「リーンー、アイツの家事好きはもう筋金入りよ?今更修正しようったって無理無理」

「でも!カイト兄せっかく素材はイイのにっっ」

「うん、お兄ちゃんはカッコ可愛いよね~♪んで料理も上手くてミク、カイトお兄ちゃんだ~い好き♪♪」

 この葱もサイコー♪、と上機嫌でシャクシャクと極太の深谷ネギを齧る次女。


(((いや、それは別に料理じゃないから))))


 胸中で突っ込んでも、面々は決して口にはしない。
 ネギに並々ならぬ執着を見せるミクにとって、カイトが用意するネギが一番美味しいらしいのだ。
 たとえそれが単に水洗いされたものであっても、ネギソムリエと言っても過言では無いミクには、その違いが一目でわかる……らしい。
 まぁそれだけカイトの素材に対する目利きが並ではないのかもしれないが、普段料理をしない面々には、違いなどさっぱり判らなかった。

「は~いおまたせ~今日のメインだよー」

 そんな兄弟達の複雑な心境などまったく気付かず、大きなお盆を持ったカイトが台所から戻ってきた。

「わぁっ!キレイ!」

「へぇ……」

「なんか、ケーキみたい」

「あら、アンタにしてはやるじゃない」
 
「えへへ~本物の天の川は見えないから、せめて、ね」

 カイトの手によって卓上に並べられたそれ。
 それは、氷水を張った硝子の器に盛られた素麺だった。
 しかもタダの素麺ではない。
 見慣れた白い絹糸のような素麺の中に時折赤や緑に色づけされた素麺が、涼しげに氷水の中で流線を描いており、これまた色づけされた小さな白玉や、星型にくりぬかれた野菜が周囲を控えめに彩っている。その様はまるで御伽噺に出てくる『天の川』そのもので、面々はその見事な仕事振りに、ただただ魅入った。

「素麺つゆも何種類か用意したから、たくさん食べてね。あ、マスターもいつまでも短冊の願い事書くのに悩んでないで、こっちにきてご飯食べて下さい」

 同じ空間にいるのというのに、隅っこで短冊を抱えながら一人ウンウン唸っているマスターに、カイトはナチュラルに声を掛ける。

((((あ、いたんだ…マスター))))

 いつものことながら、あまりにも気配というか存在感がなさ過ぎて気付かなかった。
 自分達のマスターに対してとんでもなく失礼なことを思いつつも、ボーカロイド達は口には出さず。

 曇り夜空の下、ぼかろ家の皆さんは卓上の天の川で七夕を満喫しましたとさ。



2007.07.07 AK


【参考文献】
ミスター○っ子(笑)
※ただしうろ覚え






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