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衝動に耐え切れず、ついカッとなってやった。
後悔はしてない。



「マスター!突然ですが埼○に引っ越しましょう!!」

「本当に突然過ぎて突っ込む気も起きんが、却下」


 夏の合間にふと訪れた、秋のような涼しさを纏う晴れの日。
 午前中の仕事の疲れを少しでも癒すため、休憩所で雑誌片手に食後のコーヒーを啜っていた俺は、自分のボーカロイドの突拍子も無い提案を、目を合わせることも無く一刀両断した。

「ますたー……いくらなんでも酷過ぎます」

「煩い。疲れてる時に疲れるようなことを言う方が悪い」

 間髪入れずの切り返しに打ちひしがれているカイトを軽くスルーし、ぺらりと雑誌のページを捲る。
 特に惹かれるような面白い記事がある訳でもないのだが、今の俺は休憩中なのであって、ボーカロイドの世迷言に耳を傾ける時間じゃないのだ。
眺めていた大した厚さも無い雑誌をことさらゆっくりと時間を掛けて見終えパタリと閉じてテーブルに投げ出した俺は、ようやく顔を上げる。
その視線の先に床には未だ崩れたまま俯いているボーカロイドを発見した俺は、やれやれとばかりに溜息を零した。
 手で顔を覆ってはいるが、別に泣いているわけでないだろう。
 だが下手をすると拗ねて、午後の診察に多少なりとも支障を来たす可能性はある。
 面倒だが、ここは一つその世迷言の理由くらい聞いてやろうと、俺は気の進まない思いを押し退けて口を開いた。

「……で、何でいきなり○玉なんだ?特にこれといってお前が好きそうな物があるわけでもな…、」

「何言ってるんですかマスター!埼○といえばアイスクリームの生産率日本一なんですよ!!あのが○が○くんで有名な赤○乳業本社だって○玉なんですから!!!」

 俺の言葉を押し退け、素晴らしい肺活量で一気にそんなことをのたまった。

「……ハァ?」

 それと引っ越すのと一体何の関係があるというのか、このアイス狂は。
 ていうか、お前はアイスメーカーの本社所在地まで事細かに把握しているのか。
 俺が物凄く呆れた視線を送っているというのにまったく気づかず、さらに弁論を続ける。

「しかもさ○たま市は消費率も全国二位!これはもうオレが埼玉に引っ越してぜひとも出荷額だけでなく消費率も全国一にしなければならないかとっ


「――― お前、しばらくアイス禁止な」 

 世迷言吐かなくなるまでアイス断ちでもしてろ。


 さて、そろそろ午後診の準備でもするか~と重い腰を上げた俺の背後で、なにやら絶叫のような騒音が聞こえた気がしたが、気のせいだろう、うん。





                                     2008.08.28 AK







やっふーニュースで「埼玉出荷額日本一」っていう記事を目にした瞬間、猛烈に書きたくなった(笑)







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