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ぼかろ家SS。
せっかく10月なので時事ネタ、ハロウィーンです。
何故当日更新じゃないのかというと……他にも書けないかなぁという希望的観測の元ですorz

マスカイでもカボチャネタ書きたい。。。。


                  Scramble Halloween




「「「「とりっくあ・とりーと!」」」」

 ノックも呼び鈴もなく、勢いに任せて開かれた玄関ドア。
そこから現れたのは、思い思いの仮装をした子供たち。
ぼかろ家の長男カイトはそんな可愛い不法侵入達を怒ることもなく、ニッコリと微笑み返すと。

「ハイ、ハッピーハロウィーン。みんなで仲良く分けて食べてね」

 透明なラッピング袋で可愛く飾られた、小さなカボチャを模ったマドレーヌを一人一人に手渡した。丁寧にチョコペンで顔も描かれており、見事に「ジャック・オー・ランタン」を表しているその手作りお菓子に、ミニマムモンスター達は一斉に歓声を上げる。

「「「「うわーすごーい!ありがとうかいとおにいちゃん!!!」」」」

「どういたしまして。あんまりはしゃぎすぎて転ばないようにね?」

 満面の笑みを浮かべながら次なるお宅へと向かう子供達の背中をしっかりと見送ってから、カイトは開け放たれたままだったドアをゆっくりと閉じた。







 今日は楽しいハロウィーン。

 此処は日本なのだからハロウィンは関係ないだろう、という興醒めな意見を呟く者はこの家には居ない。
 影は薄いが実は大のお祭り好きなマスターが、そんな楽しい行事を見逃す筈もなく。古びた平屋の日本家屋にはお世辞にも似つかわしくない、ハロウィーン装飾があちこちに施されていた。
 玄関先には一体何処から持ってきたのかと思うほどの大きなジャック・オー・ランタン(マスター作)、その周囲にも観賞用の黄色のカボチャがいくつも配置(メイコ配置)されている。
 玄関の靴箱の上にはお化けの人形(リン作)と、天井からは人が通ると反応する蜘蛛のおもちゃ(レン作)が吊るされ、更にはオレンジと黒のモールが玄関の入り口を囲うように飾られて(ミク作)いて、外から見れば「この家はハロウィーン大歓迎!」ということが一目瞭然となっている。
 となると、当然仮装をした子供達がひっきりなしにやってくるので、キッチンには大量のハロウィーンお菓子(カイト作)が用意されていた。
 すでに十分な量がある筈なのだが、カイト自身はまだ満足していないらしく、さっそく愛用の割烹着を身につけると、冷蔵庫で寝かせておいたパイ生地を取り出し、大理石の板の上で伸ばし始めた。

「カイト兄~見て見て!」

 そこに、しっかりとハロウィーンの衣装に身を包んだリンとレンがヒョッコリと顔を出した。
 
「あ、可愛いね。小悪魔衣装?」

「うん。レンとおそろいなの~♪」

 ちゃんと尻尾も付いてるんだよ!と、クルリと一回転したリンのお尻部分には、言葉通り先端のとがった真っ黒な尻尾が垂れ下がっていた。

「それって、裏の九条さんから?」

「うん。さっき二人で着てねって貰った」


 ぼかろ家裏手にある家には、三人家族が住んでいる。
 そこのお母さんは趣味と実益を兼ねて服飾関係の仕事をしているらしく、こうして時折洋服を作っては、ぼかろ家の面々にプレゼントしてくるのだ。いつもニコニコと朗らかな笑顔で、外見的にはとてもおっとりしたお母さんなのだが、実際は結構強引なところもあって、一度カイトが洋服を貰うのを断ったら、 『貴方たちのために作成したのだから、着てもらわなければ困るわ!』と、一種鬼気迫る勢いで言い募られたという経緯があったりする。
 それからというもの、服を貰ったせめてものお返しとして、カイトはおかずやお菓子をおすそ分けしていた。
 ちなみに九条家には、最近カイト達とは別の会社で開発されたボーカロイド『神威がくぽ』が住んでいて(九条家のお父さんは、その会社の開発G勤務)、時々ぼかろ家の皆さんと合唱をしたりしているのだが、それはまた別の話。

「へぇ、よく出来てるね。凄いな」

 ちっちゃい羽も付いてるんだね、とレンの着ているロングベストの背に付けられた蝙蝠羽を突付く。エナメル生地で作られたそれは、予想以上にしっかりとした作りだった。

「じゃあ後でお菓子のおすそ分けに行かないとね。せっかくだから、その服着たところを九条さんのお母さんに見せてあげなよ。きっと喜ぶよ」

「うん、そのつもり。カイト兄、ここにあるの貰っていいかな?」

 ダイニングテーブルに山となっている、ラッピングされたお菓子の数々を指差すレンに、カイトは待ったを掛ける。

「これからパンプキンミートパイを焼くから、それを持っていくといいよ」

「ウチの分は?」

 カイトの提案に、すかさずリンが訊ねる。
 長男手作りのパイが絶品なのは、ぼかろ家全員が認めていることで、特にリンはミートパイとオレンジカスタードパイがお気に入りだった。
 そんなリンの反応に、カイトは心得てますとばかりに微笑むと、

「ちゃんと別に用意しておくから大丈夫。材料もまだいっぱいあるし」

 パイ生地が余ったらミニパイも作るよ、と片目を瞑った。
 その返答に、やったぁ!とリンが歓声を上げる。声には出さなかったがレンもどこか嬉しそうで、カイトは頑張らないとなと気を引き締め直す。
 丁寧にパイ生地を延ばし、バターを折り込んでは延ばす作業を繰り返している長男を尻目に、リンはふと、洗い物の籠の中に置かれていたマドレーヌ型に目を向けた。
 オーブンに丁度入るくらいのマドレーヌ型は、一度に6個焼けるようになっていて、しかも普通のシェル型ではなくカボチャ型だった。

「これ、カボチャ型なんだ~、よくこんな型があったね」

 クッキー型は見たことあるけど、カボチャの形したマドレーヌ型は見たことないと首を傾げるリンに、三回目の折り返しに入っていたカイトは、作業する手は止めずに。

「ああ、うん。それ近くの金属加工の工場に特別に作ってもらったの」

 サラリと、衝撃の一言を口にした。

「「ハイッ!?」」

 驚きのあまり大きな声を上げる二人に、カイトは気にした風も無く続ける。

「マスターが『せっかくハロウィーンなんだし!』って張り切って注文したみたい。そこにある樹脂製のマフィン型もそうだよ」

「「!?    」」


 思わず粉だらけの手で指差された方向に目を向けると、そこには確かにハロウィーン試用と言えるべきお化けの形をしたマフィン型が、当然のように鎮座していた。
 あと玄関にあるカボチャも、お化けカボチャ生産で有名な農家に特別注文したみたいだよ、と結構とんでもない事をなんでもないことのように答える長男に、リンとレンは真っ青になる。

 恐るべし、お祭り好きの根性。
 こどもの日にも思ったが、一度決めたら力の賭け具合が半端ではない。

「そういえば特注で着ぐるみも発注してるみたいなんだけど、マスターあんまり体力無いのに大丈夫かなぁ?」

 最悪、俺がピンチヒッターすればイイかな~などと呟きながら、手際良くパイ生地を型に入れていく長男の姿に。

「「…………。」」



 真に恐ろしいのは、そんなノリで爆走するマスターに対し、疑問すら抱かず受け入れている兄なのかもしれない――そう思わずにはいられない二人だった。



                                       2009.10.17 AK




やっふークッキングに載っていた『パンプキンミートパイ』があまりにも美味しそうだったんでつい…(汗)
ちなみに独楽はよく料理するけど、パイだけは昔からとんでもなく苦手ですorz






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