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つづきです。
今回はリンレン編。


ウチのリンは世渡り上手です。





「あ~もう!何が悲しくてせっかく海に来てるのにこんなこと…」

「しょーがないだろー俺らの食生活を支えているのはカイト兄なんだし」

 おそろいの麦藁帽子を被り、顔を突き合わせながら、波打ち際にしゃがみ込んでひたすらアサリ探しに精を出すリンとレン。
これが入れ食い状態だったならば調子に乗って夢中で探すのだが、そう簡単にはコトが進まないのが現実の厳しさというものなのか、開始15分が経過した時点で二人は既に飽き始めていた。
 ちなみに現段階で発見した貝の数……4個(二人合計分)
 シャベルでザクザクと海水に濡れた砂を掘り起こしながら、二人はコソコソと会話を続ける。

「せっかくの海なんだよ~貝拾いなんかよりもっとやることいっぱいあるのに…」

「だからさっさと集めりゃいいんだよ」

 口を動かす前に手を動かせと言ってやりたいのを我慢しながら、レンは黙々と熊手で濡れた土を掻く。
 ちょろちょろと足元を通り過ぎていくカニが、なんとも恨めしい。

「そんなコト言ったってコツも何にもわからないのにホイホイ見つけられるわけ無いじゃん!」

 さっきからずーっと探してるのに!と、早くも飽きを見せ始めたリンに、レンは思い切り溜息を吐きたい気持ちをグッと堪える。
 ココで逃げ出すことは容易に可能だろう。
 だが一時の自由と引き換えに今後の食生活への影響を考えると、とてもじゃないが恐ろしくて逃げ出すことなど出来そうになかった。
 一家の食事を一手に引き受けている長男の存在は、何とも偉大だ。

「じゃあ、その辺の人に訊いてアサリ取りのコツ教えてもらうとか…」

「そうする!」

 言うが早いか、リンはスクッと立ち上がったかと思うと、近くに居た恰幅の大変宜しいオバちゃん軍団へと、特攻を掛けた。

「すみませ~ん!突然ですがアサリの取り方教えてくださ~~~~い!」

 一人二人ならまだしも、五人も集まるとなかなかに迫力のある皆さんだというのに、まったく物怖じもせずに声を掛ける辺り、相当肝が据わっている。

「おや~随分とまぁめんこい子やねぇ?」

「どっから来たんか?」

「都会の人にはちょ~と難しいかのぅ?」

 めんこいめんこいとリンを取り囲むオバちゃん集団。
 傍目にはトドに囲まれたペンギンにしか見えないのだが、リンはまったく気にならないようだ。

「ハイ!でもお兄ちゃんにノルマ分取ってからじゃないと遊んじゃダメって言われちゃったんです」

 そう言って、持っていた小降りのバケツを指差す。
 もちろん、やっとこさ取ったアサリは四つだけだという主張も忘れない。

「おやま、そりゃあ大変だ」

「都会っ子にゃあちょいとむずかしいかものぅ」

「んじゃあ、おばちゃんたちがちょっとしたコツを教えてやろうかねぇ」

「わぁ~ありがとうございます!」





「………リンって、ボーカロイド辞めても生き残って行けそうだよな」

 いつからあんなに世渡り上手になったのか……同じ生活をして仕事をしているのに自分には絶対に無理だ――そう思わずにはいられない、レンであった。

 






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