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要望があったので懲りずに書いてみた……ら、話を書く行為自体が久々過ぎてガッタガタorz

すみません色々目を瞑ってください。。。。
















「前回の宣言どおり、これからご飯食べに行こうか」


 長丁場だった仕事の納品が無事に完了し、書類片手に晴れ晴れとした表情を浮かべて帰ってきたマスターの目の下には、見るも無残な深い隈が刻まれていて。



「その前にとっとと寝て下さいお願いします」




 僕は返事をする代わりに、三つ指突いて懇願した。


   




        裁縫師と歌謡人形2







 いつものように駄々を捏ねるマスターを無理矢理ベッドに押し込んでトドメとばかりに子守唄を歌って、寝かしつけること23時間後。
 夢を見る余裕すらないほどグッスリと熟睡し、疲れと睡眠欲をたっぷりと満たしたマスターは、お風呂上りのミネラルウォーターを堪能しながら再度僕に告げた。





「てな訳で、前回の宣言通り食事に行こうか」

 イタリアンの創作料理なんだけど、本当に美味しかったんだよと満面の笑顔で告げるマスターの顔色は、今でこそお風呂上りで多少赤みが差しているものの、正直あまり宜しいとは言えない。

「はぁ…ですが行く前にマスターは少し胃に入れておいた方が良くないですか?」

 マスターが最後に食事を摂取していたのを見たのは二日前。それも簡易栄養補助食品……胃の中身はとっくの昔に空っぽだろう。そこにイタリア料理なんて急入れたら、胃が驚いて支障を来たしかねない。
 外食なんて以降と思えば後で幾らでも行けるのだから、今日はお粥で我慢してくれないかなぁと、儚い願いを胸中に抱いてみたものの、即座に返って来たのは不満大有りなお言葉だった。

「えーせっかくカイトと行くんだから、お腹空かせて行った方が良いじゃないか。何より空腹は最高のスパイスだよ!」

「ハァ、ソウデスカ」

 もう、何も言うまい。
 基本マスターは我儘で、自分が一度洪と決めたらそれを実行しない限り気が済まない。
 デザイナーという職業に就いているからかもしれないが、仕事でも私生活でも、己の拘りには並々ならぬ執着を持っているのだ。

「あ、カイトはこの間あげたアレ着て行ってね♪」

 カイトにジャストフィットするように俺が愛情た~っぷり篭めて作ったから、絶対似合うよ♪

「ハァ、アリガトウゴザイマス」

 取り合えず、胃薬と消化剤はテーブルの上に用意しておこう。









 元々子供服専門のデザイナーだからか、マスターがデザインする服は『カッコイイ』よりも『可愛らしい』作品が断然多い。
 今日の服も白地に袖と裾だけ細いストライプの切り返しが入った半袖シャツと、ストライプの七部丈のカーゴパンツ。どちらもちょっとマスターの拘りがあって、ボタンの一部分にだけ小さなスタッズが付けられており、そこを空けた時だけそれが覗くようになっていたり、ズボンもステッチが入ってたり裾が絞れるようになっていたりと、遊び心満載のデザインだ。
 それにキャップと靴、ブレスレットとトータルコーディネイトで用意されてしまえば、もう何も言えなくなる。
 というより、あの激務の中で一体どうやって布とかパーツとか用意したんだろう……外出はおろか、お風呂にもトイレに行くのさえ惜しんでいたというのに。




「ん!やっぱり俺の思った通りすっごい似合ってる!俺天才!ッてかむしろ俺のカイトへの愛が成せる業だよね♪」

「……ソウデスネ」

 あまり考えたくないが、やはりこれを用意している時間を省けば、もっと楽に仕事が終わったんじゃないだろうか。
 言ったところで「だって作りたかったんだもん!」の一言ですまされるだろうから、口にはしないけど。

「……カイト、もしかしてあんまり嬉しくない?」

 僕の反応があまりにも薄過ぎて不安が煽られたのか顔を覗き込んでくるマスターに、僕は気まずいような困ったような笑顔を返す。

「いえ、とても嬉しいです。僕の為にこんなにも丁寧に作って頂いて……ですがこれを作成するためにマスターの貴重なお時間を費やして頂いたかと思うと、」

 なんだか嬉しいよりも申し訳無くてですね…という台詞をよりも先に、突然引き寄せられ、思い切り口を塞がれてしまった。
 いつもポヤポヤしてるのに、どうしてこういう時だけ素早いんだろうと尽きぬマスターの謎に胸中で首を傾げながら、そっと目を閉じる。


 どうやらキスをする時は、目を閉じるものらしいから。


「カイトの服を作るのは俺にとってストレス解消なの。君にこんなの着せたいなーとかこんなのどうかなーとか想像するだけで息抜き出来るし、それを着て見せてくれたら十二分に癒される。それに凄くイイデザインが思いついたら仕事そっちのけになっちゃうのは、いつものことだろう?」

「そうですけど…」

 いくら基本我儘でも、時と場合を考えて下さい。
 以前徹夜三日連続で新記録更新をした時、今回と同じように俺の服をコッソリ作ってたと後で知った僕は、本気で卒倒しそうになったのですから。

「いいの!カイトは俺の隣で歌って癒してくれれば!俺なんかの心配なんかいちいちする必要ないんだから」

 マスターの言葉が、胸に痛い。
 本気でそう思っているからこそ、言葉が刃となって僕の心に突き刺さる。

 僕がどんなにマスターのことを心配しているかなんて、欠片も気付いてくれない。
 でもそれは、仕方の無いこと。
 マスターは他人から心配されたことなんて無いって、本気で思っている。
 誰にも心配されないから、無茶しても全然平気だと本気で思っている。



 どうしてマスターがそう思うようになったのか、僕は知らない。



「……いつかで良いので、教えて下さいね?」

 ポソリと、目の前にいるマスターにすら聞こえないほど小さな小さな呟きを零す。
 
「ん?何か言った?」

「いいえ何も。さぁ、じゃあさっさとお店に行って気の済むまでたくさん食べましょう!」

「うん!実を言うとお腹空き過ぎてクラクラするんだよね~」

「ちょっ!?倒れるならお店に着いてからにしてください!!」








 いつか、教えてください。
 アナタが抱える闇を。
 
 怖がらずとも大丈夫。
 私にはアナタしか居ませんから。
 何を知っても、私がアナタを嫌うことはありません。



 私はアナタだけの、歌謡人形なのですから―――







    2010.06.10 AK




 気付いたら色々過去が出てきそうなマスターになってしまったorz
 気が向いたら続きを書くかもしれない・・・・






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