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 修羅場中の人です。

 修羅場中なのに書きたくなったので書いた。後悔して無い。
 首絞めてるってわかってるけどorz


 『裁縫師と歌謡人形』の続きです。












 カタカタカタ…
 カタカタカタ…

 作業室から聞こえてくる、一定のリズム。

 カタカタカタ…
 カタカタカタ…

 それはマスターが愛用している、年代物のミシンの音。
 マスターのお祖母様がずっと使っていた代物。
 最新式のコンピューターミシンを持っているのに
 マスターはここぞという時、必ずそのミシンを使用する。
 塗装は剥げて、錆も浮かんで、土台だって所々が欠けたりしているのに
 丁寧に手入れをして、小さな穴に油を差して
 キィキィ鳴る足踏みペダルをゆっくりと踏みながら
 大事に大事に使っている。
 以前『どうして新しい物があるのにそれを使うの?』と訊ねたら
 『繊細な部分を縫う時はこっちの方が綺麗に縫えるんだ』と
 いつものヘラヘラとした笑顔じゃなくて、職人の表情を浮かべて返された。

 カタカタカタ…
 カタカタカタ…

 最新式のものとは違う、どこか温かみのあるリズム
 ペダルを踏む動きに合わせて
 針がダンスを踊るように
 するりするりと柔らかな布の上を、誇らしげに滑っていく
 
 キィキィ…
 カタカタカタ…
 キィキィ…
 カタカタカタ…

 多分今の仕事が終わったら
 今度はペダルに油を差すのだろう
 慈しみながら
 労いながら
 古びた小さなアンティークミシンに
 『また宜しく』と、優しく優しく語り掛けながら


 カタカタカタ…
 カタカタカタ…

 カタカタカタ…
 カタカタカタ…

 そんなマスターの背中を見つめながら
 僕は丁寧に丁寧に歌を奏でる

 少しでもマスターの疲れが癒されるように
 少しでもお仕事が捗るように
 時にはゆったりとしたバラードを
 時には軽快なアップテンポの曲を
 その時々に合わせて
 僕は歌を唄う

 静かな室内に響く
 ミシンの音と
 僕の歌声
 まったく違う『音』なのに
 いつしかそれは
 重なって
 混ざり合って
 まるで、デュエットをしているかのように聞こえてきて

 マスターは一言も話していないのに
 声の変わりに
 ミシンを通して歌ってくれているようで

 それがとても
 嬉しくて

 カタカタ
 ラララ
 カタカタ
 ラララ

 目を合わせることも無く
 会話を交わすことも無く
 ただただ部屋に響くのは
 ミシンと僕の歌だけで

 カタカタ
 ラララ
 カタカタ
 ラララ

 傍から見たら滑稽で
 けれど不思議なハーモニー







2010.07.27 AK





【オマケ】

「て、コトででっきたー!」

「お疲れ様でしたマスター。ちなみに今回は何を作っていたのですか?」

「ンフフフフフフ!今回のは凄いよ~俺が全知識と全手法を注いで作成した一品だからね!」

「……気のせいか、なんだか嫌な予感がするんですけど」

「アハハハハ何警戒してるんだよ心配性さんだなぁカイトは!」

「……いえ、マスターに関しては警戒するに越したことは無いと学びましたので…」

 過去のアレとかソレとか…

「あれ、なんだか顔色悪いよ大丈夫カイト?あ、そーゆー時こそ素晴らしい俺の作品を見て元気を出しなさい!ほ~ら出来立てほやほやの可愛い裸エプロン専用フリルエプロ…、」

「そんなモンに心血注いでる暇があったらさっさと仕事終わらせて下さい!!!!」


 






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