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長編その3。

すみませんカイト出現率ほぼ0。
でもコレの話が無いと悠久が如何に不幸君かがわからないのでスミマセン、我慢してください。
次、次こそは兄さん出しますのでっっ!!



そういえばコレの元になった『死/神/の/精/度』が劇場公開始まりましたね~(3/22現在)
観たのが二週間以上前だから、とっくに公開されてるとばかり思っていたよ(笑)

ちなみにこの話は死神の設定などはまんまですが、出てくる登場人物はほぼ捏造です。
ヒロイン生い立ちのみ、悠久に変換してますけど。

まぁヒロインが居ない時点で別モンにならなきゃ嘘だけどな(爆)

 死神がターゲットとなった人間を裁くわけではない。
 死神の役割は、あくまで『判定』だ。

 見極めの期限は七日間。 
その間に死神はターゲットを観察。
必要ならば接触をし話をして、最終的な結論を出す。


今死んでも支障の無い人間かどうかを判定するのが、死神の仕事。


 ターゲットの話を訊く事は嫌いじゃない。
 僅かな間しか人間の世界に居られない僕にとっては、彼らの話はとても興味深く面白い。
 時々意味が判らない単語や言い回しが出てきて戸惑うこともあるけれど、それもまた楽しかった。
 そんな時、ターゲットは大抵『面白いなアンタ』と僕を笑った。
 わからないことをわからないと素直に答えているだけなのに、何が面白いのだろう。
 疑問は尽きないが、それ以上訊くのは躊躇われて…というか不審に思われそうだったので、僕はいつも疑問を残したまま役目を終えることになる。

 人間の世界は不思議なことばかり。
 人間にしてみれば、僕の存在自体が不思議に移るのだろうけど、僕には自分の存在を説明するだけの答えを持っていないから、仮に問われても答えようが無いのだけれど。




 今回のターゲット、春日悠久の話もなかなかに興味深かった。

 









 俺は5歳の時、両親と死別した。
 家族旅行で伊豆に向かう途中、トラックの横転事故に巻き込まれた。俺だけは隣に座っていた母さんが必死の思いで守っていたため、奇跡的に助かった。
 その後は子供がいなかった親戚夫婦に引き取られ、数年間は平凡だがそれなりに幸せに暮らしていた。


 けれど、運命はまたしても俺を絶望に突き落とした。


 17歳の夏。
 高校のバンド仲間との合宿で家を留守にしている間に、その小さな幸せは脆くも崩れ去った。
 引き取ってくれた親戚夫婦が、火事で亡くなったのだ。
 警察の検分によると、火事の原因は放火によるもので、犯人は現在も見つかっていない。

 その後は親戚夫婦が残してくれた住む家と二人分の生命保険で、なんとか大学まで行くことが出来た。


 俺は、本当の両親と育ての両親を亡くした。
 本当に、天涯孤独になってしまった。






「ここまでなら、俺は単に運に見放された奴で済んだ。でも……」

 俺が亡くしたのは、それだけに留まらなかった。




 五年前。
 その頃、俺には最愛の女性がいた。
 大学時代の同輩で、同じサークル内で出会い、いつしか恋人同士という関係に発展した。

 それは、卒業論文も無事に終え、後は卒業式を迎えるだけとなった頃。
 卒業祝いと学生最後の思い出作りと称して、、彼女と二人だけで蓼科へ旅行をすることになった。
 せっかくだからと現地でレンタカーを借りて、車内から見える穏やかな風景を眺めながら、彼女と他愛もない会話を楽しんでいた。


 そんな、平凡で当たり前の時間を過ごしていた俺達に、悲劇は前触れもなく突然起こった。


 場所は見晴らしの良い緩やかな上り坂。
 まだ微かに雪が残るその場所は、春になると一面に小さな花が咲き乱れることで有名で、彼女は来る時期が少し早かったねと笑い、今度来る時は春にしようねと、少し気の早い約束を取り付けていた。



 まさか、その会話が彼女と交わす最後の会話になるとは、その時の俺は思いもしなかった。




 坂を上り切る直前、いきなり前方から現れたトラック。
 よそ見でもしていたのか、トラックは車線を大幅にはみ出していた。




 一瞬のことだった筈なのに、何故かトラックの運転手の表情をよくおぼえている。




 驚愕と恐怖に彩られた相手の顔。
 咄嗟に横を向くと、呆然と前方を見つめる彼女が居て。

「!?       っっ」


 ……次の瞬間、衝撃と轟音、そして激痛が体中を襲い、そこで意識はブラックアウトした。

 











 次に目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。
 真っ白な壁紙に薬品の香りが漂う部屋。その室内の様子に、そこが病院だということはすぐに気付いた。
 そのままぼんやりと真っ白な天井を眺めていると、回診にやってきた看護師が俺を見るなり「意識が回復したんですねっ」と幾分興奮気味に言ったので、俺は半ば流されるように頷いた。
 一体どれくらい意識が無かったのか、目覚めたばかりの俺には見当も付かなか
ったが、声が出なくなる程度には眠っていたことはわかった。 
 すぐに担当医師を呼んできますからと看護師は言い残し、再び病室から出て行った。パタパタとかけていく看護師の足音が、閉められた扉の向こう側から微かに聞こえてくる。
 看護師は常に冷静じゃなきゃいけないんじゃなかったかとぼんやりとした頭で思いつつ、俺は担当医師とやらがくるのを、真っ白な天井を眺めながら静かに待った。





 時間にして、多分2~3分程度だろう。お決まりの白い白衣に身を包んだ、40歳後半くらいの白髪混じりの医師が、さっきの看護師を伴って俺の前に現れた。

「どうだい気分は?吐き気などはないかい?」

 堅物そうな外見とは裏腹に、医師の口調と眼差しは柔らかだった。
 俺はしばらく考えて、特に該当しないことを確認してから、小さく首を横に振る。
 すると医師の背後にいた看護師が、カルテらしきものに何かを書いた。

「君はこの病院に搬送されてから、三日間眠っていた。ここに運ばれる前のことを、覚えているかい?」


 ここに来る、前の、こと?


 俺は視線を医師から外し、周囲にさ迷わせる。
 確か俺は……どこかに向かう途中だった。卒業間近で、記念にどこか旅行に行こうと……誰かと。




 ―――誰、だっけ?



 ……そうだ。
 確か、恋人の沙良と学生最後の思い出を作ろうと、俺が運転するレンタカーで予約したロッジに向かおうとしていて。




 ――それで。




 ――それ、で?







「!?   っ」

 そこまで思い出したことをきっかけに、ぼんやりとしていた記憶が一気に鮮明になる。
 俺は痛む体の制止を振り切って起き上がると、目の前の医師に掴みかかった。

「!?っ 先生っ!沙良はっ沙良はどうなったんだっっ!?」

 反動で横に置かれていた点滴が倒れたが、気にしている余裕なんてなかった。
 俺がこの病院に運ばれたということは、一緒にいた彼女もここに運ばれた可能性が高い。
 俺の最後の記憶は、呆然とした彼女の横顔と、凄まじい衝撃と痛みだけ。あの後彼女がどうなったのか、意識を失ってしまった俺には、聞くしか知りようが無かった。

「先生っ!?」

 ガタガタと体が震える。
 それが痛みから来るものなのか、恐怖から来るものなのか、その時の俺には判断が付かなかった。
 とにかく不安で、彼女のことが心配で堪らなかった。
 今すぐ彼女の笑顔が見たかった。
 まるで春風のような、柔らかな彼女の笑顔を。










 けれど。



 時として現実は、例えようも無いほど厳しくて。
















「……落ち着いて聞いてほしい。君と一緒に居た沙良さんは       、」

「―――ぇ ?」










 音が、消えた。

 目の前に居る医師の声も、周りの雑音も何もかもを、俺の耳は拒絶した。

 聞こえない。

 キコエナイ。

 なにも。











 ……違う、そうじゃない。











 俺は、聞きたくないのだ。
 医師の言葉を。
 不吉を運ぶ、その言葉の羅列を。







 何故ならそれは……






『大変残念だが、同乗者だった方は……この病院に搬送されたときには既に――― 、』









 ―――俺に、絶望を与えると知っているから。
























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