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久々にぼかろ家の更新です。
今回は兄さんとリンレンのターン。
メイコ姉さんとミクはお仕事中です。
あ、あとマスターも(笑)

それでは下からどうぞ~



 それは、とある平日のことだった。
 


「あ、リン、レンお帰り~もう少ししたらご飯出来るから、ちょっとお茶でも飲んで休んでて~」

 定番となりつつある割烹着に身を包み、いつもと変わらず絶妙な優しさを持つテノールボイスで所帯じみたことを口にするカイトに、リンは無言で近付くとその襟首に巻かれたマフラーをむんずと掴み上げた。
身長差があるので『掴み上げた』というより、傍目には下から引っ張っているようにしか見えないのだが、至って本人は掴み上げているつもりだった。

「…カイト兄、」

何やら物々しい雰囲気を発する妹に、カイトは左右の手におひつとしゃもじを持ちながら、ハテと首を傾げる。
何か自分はリンの機嫌を損ねるようなことをしただろうかと考えるが、特に思い当たる節は無い。

「えーと、どうしたのリン。あ、もしかしてご飯まで待てないとか?でも今間食したらご飯食べれなくなっちゃうから、」

ちっがーう!なんでカイト兄はボーカロイドなのにそんなに所帯じみてるの!?しかもなんかすっかり板に着いちゃってるしっっ」

「そう、言われても…メイコ姉さんは一応料理できるけど酒の摘みしか作らないし、ミクはネギ栽培しか出来ないし、リンとレンはまったく料理出来ないだろ?マスターは…言わずもがな生活能力皆無な人だし、必然的に残った俺がやるようになっただけなんだけど」

「勿・体・無いっ!カイト兄は黙って立ってるだけなら十分カッコイイし綺麗だし、歌だって本当はそこらのアイドルなんかよりずっと上手いのにっ!!」

「……えと、ありがとう。なんか、リンに褒められると照れるね」

 そう言って、しゃもじでほんのりと赤く染まった頬を掻くカイト。

「何でそこで頬染めるのよ!?しかもカワイイしっっ」

「ウン、リンも可愛いよ」

 戸惑いも無くサラリと爽やかな笑顔付きで返され、リンまで頬が赤くなる。

「え…、あ、ありがと…って、だからちっが~うっっ!!

「…オーイ、ちっとも話が進んでねーぞリン」

 いくら待てども本題に入らない二人に、いい加減焦れたレンが助け舟を出す。
 するとリンはマフラーから手を離し、くるりと背後を振り返った。

「だってコレじゃ完璧主夫だよっ!生活に草臥れた団地妻と同じじゃんっっ」

 こんな姿毎日見せられたら突っ込みの一つも言いたくなるじゃないかと、躊躇いも無く兄を指差し尚も憤る双子の姉に、心底溜息を吐きたくなる。
そんなリン背後には、妹に指差されながらも朗らかに笑う長男の姿があって、彼は兄としてのプライドは無いんだろうか?…無いんだろーなーと、レンは胸中で一人突っ込みをした。

 とにかく、このままリンに任せていても埒が明かないと踏んだレンは、姉を差し置いて勝手に話を進めることにした。

「カイト兄、」

「ん、どうしたの?レンも我慢できないくらいお腹減ってるとか?」

 いやいやいや、だからそこから離れてくれ。というか、兄の中ではリンは『腹減り=機嫌悪い』定義確定なんですか。

「実は今日、仕事先でスンゲェいけすかねぇプロデューサーに会ってさ」

「あ、駄目だよレン。目上の人をそんな風に言っちゃ。芸能界は常にジャクニクキョウショクだから、建前だけでも愛想よくして周囲整えとけってメイコ姉さんが」

 ……いやそれ、思いっきり猫被ってるだけじゃん。しかもさり気にかなり腹黒いこと推奨してるし。
カイト兄、意味わかって言ってんのか?

「あ~大丈夫、表面上はばっちりアイドルスマイル返しといたから。まぁそれは置いといて、そのプロデューサーにさ、言われたんだよ。『最近君達のお兄さん見かけないね、とうとう落ちぶれちゃった?』って、すんげぇ嫌みったらしい笑顔付きで」

「………はぁ、」

「はぁ、じゃないでしょっ!!カイト兄、思いっきり馬鹿にされたんだよっ!?普通怒るとかするトコでしょうがっっ」

「でも、あんまり仕事が無いのは事実だし」

 それに家ではマスターに歌わせてもらってるし、コーラスの仕事もしてるから……まぁ、スタジオ収録のみで一切表に顔は出て無いけど。

 業界ではボーカロイドとして世間に注目される以前から、伸びやかで耳心地良いカイトのコーラスには定評があり、一躍有名になった今でもカイトの元には頻繁にコーラスの仕事がやってくる。
ただしそれは、他の歌手のCD製作の際に収録する歌のコーラスであるため、表舞台には一切出ない。
 つまり、カイトの活動ぶりは業界の一部にしか知られていない状態なのだ。
 
「それに俺、歌は歌えてもダンスは下手だし、他のアイドルの皆さんみたいに器用に振舞えないから。あ、でもこの間教育番組の歌のお兄さんはやったよ」

 子供さんがいっぱいいてね~セットも歌も可愛くて楽しかった、と笑いながら語るカイトは本当に嬉しそうで、思わず脱力しそうになる。

 確かにカイトには歌のお兄さんは適役だろう。
 声を荒げたりしないし基本ほのぼのだし馬鹿が付くほど御人好しで人を疑うことを知らないし……我が兄ながら時々この人本当に欲望渦巻く芸能界でやっていけるのかなと不安に駆られるくらい、まったく世間ズレしていないのだ。
 まさに子供の教育には最適な人材だとは思う。
 だが、自分達はボーカロイドだ。
歌うことが生きがいであり、歌うことを目的として作られたヒューマノイドなのだ。
 それなのにこの兄は時折歌の仕事をするだけで、基本は自宅の家事全般を一手に引き受けこなすことを生きがいにしてしまっている。
しかも、それを楽しんでいる風に見える。

 でもそれって、ボーカロイドとしてどうなんだ。

 まるでレンの思考を受け継いだかのように、再びリンはカイトのマフラーを掴むと、鬼気迫る面持ちで言い募った。

た・し・か・にっ、カイト兄にその仕事は丸ハマリだわっ!でもそれで満足してどうするのよっ!私達は今をときめくボーカロイドなのよっ有名一家なのよっ!!その長男が芸能界の荒波にあっさり飲まれて消えかけてるのにのほほんとしてるってどういうことっっ!?」

「…えーと、リン。とりあえず御近所様の迷惑になるから、あまり大きな声を出さないでくれると……ほら、この家って広いけど防音設備はゼロだから」

「そういう言動がイチイチ所帯じみててイヤーっっ!!!!」




 リンの絶叫が、半径100メートル圏内に響いた。


                                           (後編に続く)


  
 

 スンマセン、一旦切ります(汗)


 




















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