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どーぶつのお医者さんマスターとカイト、三度登場。
スミマセンなんか予想外に好評だったから調子に乗ってみた。

というかこの二人、メッチャ書きやすくてつい……


今回はマスターの御実家登場。
でも別に『オレこの人と結婚するよ』宣言するわけではない(笑)


・・・・・・だよな?←何故疑問系




ぼかろ家は週明けには完成させます。
明日は書いてる暇が無いのorz



「花見にでも行くか?」

 どーぶつ病院終業後。
 家に帰る時と同じ口調で、マスターは言った。





 どーぶつ病院からマスターの住んでいるマンションまでは、車で10分ほど。
 そのマンションから更に30分ほど車を走らせ、近くの駐車場に車を止めてそこから歩いて直ぐのところにあったのは……高い塀に囲まれ、立派な門を構えた、見るからに古い趣の、いわゆる『お寺』というものだった。

 花見と言われたのに、どうしてこんな場所に連れて来られたのだろうと首を傾げると、マスターはニカリと笑った。

「ココ、俺の実家」

 そういって指差されたのは、目の前にあるお寺の門。

「マスターの、御実家……ですか?」

「そ。今は弟が跡継いでるけど、親父も現役の坊さんだ」

 つまり俺は、不当の息子ってワケ。

「そう、なんですか?」

 初めて聞く真実に、俺は目を瞬かせた。
 マスターはたくさん勉強して資格を取って、小さくても立派に個人のどーぶつ病院を経営している。
 俺はマスターとその周囲の人しか知らないからよく判らないけれど、それって十分に凄いことなんじゃないだろうか。
 抱いた疑問をそのまま視線に乗せてマスターを見ると、マスターは苦笑を零しながら口を開いた。

「普通は長男が親の跡を継ぐモンなんだよ。高校も仏教系だったし。でも俺はどうしても獣医になりたかったから、親父の反対押し切って家飛び出しちまったんだ。それに親父は怒り狂って、大学入って二年くらいは家にも入れてもらえなかった」

 結局、二つ下の弟が寺を継ぐって言ってくれて、なんとか事なきを得たんだけどな。

「それが元で、今でも親父とはちょっと犬猿の仲」

 そういって笑うマスターの横顔は、ちょっと寂しそうだった。
 多分、マスターはお父さんのことが好きなんだろう。
 好きな人に冷たくされるのは、すごく辛いことだ。
 もしも俺がマスターに嫌われたら、それは……機能停止したくなるくらい、辛いことだから。

「まぁそんなわけで、あんまり足を運びずらい場所ではあるんだけど……」

 お前に、見せてやりたかったからさ。

「え?」

「っと、その前にお袋に顔見せろって言われてるから、先にそっちな?」

 多分食うモンも用意してくれてる筈だからと、おもむろにオレの手を取ると、重そうな扉を開いて中へと入っていく。

「え?え??あの、ますたー?」

 当然手を握られたオレはマスターに付いて行くしかなくて、戸惑いながらも導かれるままに足を動かした。













「杜乃っ!あんたいきなり電話してきて『コレから行くから』の一言で切るんじゃないわよっ!」

 オレとマスターを大きな玄関で出迎えたのは、どことなく目の辺りにマスターの面影が見え隠れする(…この場合、マスターが似てると言った方がいいのかな)、手に菜箸を握り締め、仁王立ちした一人の女性だった。
 その女性の内側から滲み出る妙な迫力に、オレは思わずマスターの背後に隠れてしまう。
 けれどマスターは特に何も感じないのか、いつもと変わらない口調で返していた。

「ワリィお袋、なにしろ急に思い立ったからさ。ホラ俺って一度決めたらそうしないと、気が済まないから」

「そんな言い訳が通用しますか!少しはその思いつきに巻き込まれる方の身にも…って、あら?どちら様?」

 まだまだ続きそうな気配を漂わせていたお母さんだったが、どうやらマスターの陰に隠れていたオレの存在に気が付いたらしい。首を傾け、前から覗き込むように背後のオレを見ていたので、オレはちょっとビクビクしながらもマスターの横に並ぶように立った。
 なんか、視線が痛いですマスター。

「あら、随分と綺麗な子ねぇ。杜乃のお友達?」

「うんにゃ、ボーカロイド」

 ピタリ、と、ココで会話の流れが一時停止した。
 えと、オレが止まったわけじゃない。
 マスターとマスターのお母さんが、真正面から見つめあったまま止まっていた。




 ようやく会話が再開されたのは、それから約一分後。




「……ボーカロイドって、たまにテレビのCMとかでやってる?」

「そうそう」

「歌うのを目的とされた、次世代型ヒューマノイドっていう?」

「そうそう、それそれ」

「………なんで、そんなものを獣医のアンタが?」

 アンタ音楽業界人でもなければ歌が上手いわけでもないじゃないの。

 お母さんのいうとおりだった。
 マスターは音楽に詳しいわけでも、それどころかあんまりPCにも詳しくない。
 音楽を趣味にしているわけでもなかった。

「や、詳しく話すと長くなるんだが、ぶっちゃけちまえば成り行き~みたいな」

 ますたー、省略し過ぎです。
 事実、そうなんですけど。

 あまりにもざっくばらんな購入理由を告げられたお母さんは、再びたっぷり一分間静止した後、スゥッと目を細めた。
 なんか、怖いですマスター。
 内側だけじゃない、全身から迸る威圧感のようなもの(?)に気圧されてしまい、思わずマスターの背後に隠れてしまう。
 そんなオレの行動に、マスターは後ろを振り向くと困ったような顔をして、優しく頭を撫でてくれた。

「…確か、成り行きで買えるような値段じゃなかったと思うんだけど?」

 あっあっ、なんかお母さんの眉間がピクピクいってる。
 マスターも怒る時、同じようになるクセがあるからよくわかる。
 アレは、絶対怒ってる顔だ。

「あ~まぁ、そうだな。でも、成り行きなのは事実」

「杜乃!無駄遣いはするなって小さい頃からあれほどっ」

 怒られると思ったオレは、マスターの背後で反射的に身体を縮こめて硬く目を瞑った。






 けれど、それよりも早く聞こえてきたのは。





「カイトは無駄遣いなんかじゃねぇよ」

「! っ」

 マスターの声。

 その口調は、いつもと変わらない飄々としたもので、でも何故か、お母さんを一瞬で黙らせてしまうくらいの強さがあった。

「確かにカイトを買ったのは成り行きだけど、無駄なんかじゃない。俺には必要だったから買った。それだけだ」

 スッと伸びた、大きな背中。
 大好きな、マスターの背中。
 隣で並んで歩くのも好きだけれど、オレは後ろからこの背中を眺めるのも好きだった。

「……マスター、」

 どうしよう、泣きそうだ。
 嬉しくても涙が出るなんて、知らなかった。
 でもここで泣くわけには行かないから、グッと目に力を篭めて涙を止めて、代わりにマスターのシャツの裾を強く握り締めた。

 オレの頭より少しだけ上の位置から、マスターの声は続く。

「確かに目ン玉飛び出るくらい高かったけど、俺は後悔してない。それどころか、来てくれて感謝してる」

 マスターの声に、躊躇なんて欠片も感じなかった。
 まっすぐ前を見据えて、お母さんに向けて堂々と告げていた。







「お袋、紹介するよ。コレがオレの大事な新しい家族…カイトだ」




 マスター。

 ますたー。

 どうしようマスター。



 オレ……泣くのもう耐えられません。



                        (すみませんまた続き物に・・・中篇へ続く)























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