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続きです。
なんかもう・・・・・・ゴメンナサイ!
でもたのしかったから後悔しない!!!


 嬉しくて恥も外聞も無く人様の玄関でわんわんと泣いてしまったオレを見たマスターは、面白いくらいに狼狽ていた。
 口を開けたり締めたり、俺の両肩に手を置いて顔を覗き込んで「どうしたカイト!お袋がそんなに怖かったのか!?」と言って、お母さんに間髪入れずに菜箸で頭を殴られたりして、その姿がとても可笑しくて、いつものマスターよりも少しだけ幼く見えて、俺は涙を流しながら笑ってしまった。

 ようやくオレが泣き止んだ後、マスターのお母さんはすぐさまオレに謝ってくれた。

「ゴメンナサイね、まさかこの面倒くさがりの馬鹿が、ボーカロイドを買うなんて夢にも思ってなかったから」

 泣いてしまったのはマスターの言葉が嬉しかったからで、お母さんの言葉に傷付いたわけではないから気にして無いと何度も首を振ったのだが、どうやらオレが遠慮してると勘違いされたらしい。

「可愛いっ!こんな息子が欲しかったわ~」

と叫んで、ギュッと抱き締められて(その時マスターは変な顔をしていた。なんでだろう?)、更には好きな食べ物を訊かれて、つい正直に「アイス!」と叫んでしまったら、小さめのクーラーボックスにマスター用の缶ビール数本と、冷凍庫にあったというカップアイスを用意してくれた。

「…それからコレね。急だったから大した物は用意出来なかったけど」

 そういってマスターのお母さんが差し出したのは、よく見かけるスーパーのビニール袋に入った何かと、大き目のブルーシートだった。
 マスターはそれを受け取ると、早速とばかりにビニール袋の中をガサガサと確認する。

「サンキューお袋。お、かんぴょう巻じゃん!ラッキ~♪」

「タイミング良く煮付けてあったのよ。後は卵焼きとか胡麻和えとか、あり合わせの物ばっかりだから」

 あまりにもタイムング良過ぎてどっかで見てたんじゃないかって思ったくらいよ、と笑うマスターのお母さんは、さっきの(鬼のような)形相とはまるで別人みたいに、優しい笑みを浮かべていた。

「十分十分。よし、じゃあ行くかカイト」

 それらを小脇に抱え、外へと方向転換するマスターに、オレはハテと首を傾げる。

「えと、何処に……ですか?」

「何処って、花見に決まってるだろう。何のためにココに来たのか忘れたのか?」

「え、でも…ココは公園じゃないですし、提灯も屋台も無いです」

 少し前にニュースで見た風景はどれも公園とか川沿いとかで、提灯が飾られていたり屋台という簡易的に作られた小さなお店がたくさん並んでいたりしていた。けれどココはマスターの実家で、公園じゃなくてお寺だし、ちらりと見たけどお墓が並んでいるだけで、提灯も屋台も無い。
 そう正直に訊くと、マスターのお母さんはマスターを責めるような視線を投げた。

「……杜乃、カイト君にちゃんと一般常識教えてあげてるの?」

 テレビで言ってたけど、ボーカロイドってマスターの教育次第で成長していくヒューマノイドなんでしょう?

「一応、そのつもりだったんだ…けど、」

「いくらアンタが面倒くさがりでどうしようもない奴でも、カイト君に常識が何たるかを教えられるのはアンタしかいないんだから、ちゃんと教えてあげなさい」

「う……了解」

 そういって口を尖らせるマスターの表情は、普段あまり見られない珍しいものだった。
 オレはボーカロイドだから、当然血の繋がったお父さんもお母さんもいない。敢えて言うならオレを作ってくれた研究所の人達だけれど、それは何か違う。
 マスターとマスターのお母さん……二人の間に漂う、他人は入れない不思議で温かい雰囲気。
 それが、ちょっとだけ羨ましい。

 そんな感情をこっそり抱きながらお二人を見ていると、オレの視線に気付いたマスターはワザとらしい咳払いをしてから、改めて口を開いた。

「えーとな、カイト。花見ってのは別に公園とか川沿いとかじゃなくても出来るんだ。用は『桜』があれば花見なんかどこでも出来る」

「そう、なんですか?」

 さくら……『桜』。確か、日本古来から生息するバラ科の植物で、主に春に白色や淡い紅色の花を咲かせる樹のこと。
そういえば花見って紹介された所の背景には、必ず薄ピンク色の樹がたくさん並んでいた。
もしかしなくとも、アレが『桜』というものなのだろう。
じゃあ、『花見』とは、その桜を見るのがメインなんだろうか。
でもニュースで見た人達は桜よりも屋台とか食べ物とか、後はお酒ばかり見ていて、桜はあまり見ていなかったような気がするのだけれど……マスターが言うのだから、きっとそれが正解なのだろう。

「では、マスターの御実家には『さくら』があるんですか?」

「おう、あるぞ。それもそこらでは滅多にお目にかかれない、立派なのが一本」

 マスターが言うには、主に咲いている桜は『ソメイヨシノ』という、短命だが大抵の土地に馴染みやすく品種改良された桜の樹ばかりらしい。
しかしマスターのご実家にある桜はそれとは別の品種――自然種とされている『エドヒガン』という桜で、とても長寿で立派な桜なのだと、誇らしげに話してくれた。
 マスターがココまで断言するのだから、きっとすごく綺麗な樹なんだろう。
そう思うと、自然とその桜に興味が湧いた。

 けれど、そんなオレのワクワクした気持ちは、続いたマスターの言葉に一瞬にして吹き飛んでしまう。

「ただし、さっきの墓場のど真ん中を突っ切って行かなきゃならんけどな」

「……ハイ?」

 あの、今なんていいましたか?
なにやらオレの耳に、かなり不吉な単語が飛び込んできたような気がするんですが。

「だから、墓場のど真ん中

「えと……はかばって、もしかしてあの『墓場』ですか?」

「他に墓場があるならむしろ訊きたいくらいだが、その墓場だ」

 さっき直ぐ横を通っただろうと事も無げに言うマスターに、オレは(実際には血なんか通って無いけど)ザッと顔を青褪める。

 一ヶ月くらい前、マスターはレンタルショップで何本かDVDを借りてきた。
 映画好きというわけではないけれど、マスターは時々休みの日になると家でDVD鑑賞会(と言っても俺とマスターの二人だけだけど)を開いていたから、それに関しては特に何も思わなかった。
 最初の二本はコメディとアクションモノで、マスターはコーヒー、オレはアイスを食べながらのんびり鑑賞していた。
 けれど、三本目は―――いわゆる『恐怖映画』と呼ばれるジャンルのもので。


『ヒャアアアアアッッッ!ますっ、ますたぁぁぁぁぁぁっっ!!』

恐ろしい映像と不安を掻き立てるBGMに、オレは大好きなアイスすらも投げ出して、映画が終わるまでずっとマスターにしがみ付いてひたすら震えていたのだ。
マスターは『そんなに怖いなら観なきゃいいのに』としがみ付くオレの背中を撫でながら笑っていたけれど、怖いもの見たさというか、怖いけやっぱりどラストが気になるという複雑な心境だったオレは結局最後まで観てしまい……その日の夜は眠りに付くその瞬間まで、マスターの傍を離れなかった。

その映画のシーンの一つに、まさに『墓場』が舞台となっているシーンがあったわけで。




「ま、ますたぁぁぁぁ~~」

 脳裏に映画の内容を事細かに思い出してしまい、記憶回路の奥底にロックを掛けてしまって置いた恐怖が見事蘇ってしまったオレは、涙目でマスターに取り縋るが、オレの小さな訴えはマスターのあっけらかんとした笑顔でアッサリと跳ね除けられた。

「あ~平気平気。ここには悪さをするような霊はいないと思うぞ、多分

 ホラ、何せ供養してんのは俺の親父と弟だし。
 まぁ、たまに迷い込んで来ちまった人もいるかもだけど。

「多分ってなんですかぁぁぁぁ~っていうか、幽霊いるんですかぁぁぁ~!?」

 初耳だ。
 いや、ココに連れて来られたのも初めてだから当然なんだけど。

「いやまぁ、ウチ寺だし、むしろそれがメインだし、幽霊の一体や二体いたって不思議じゃないだろ」

 大丈夫大丈夫!ウチに眠ってるのは近所の皆さんばっかだから。

「それにいざとなったら、俺が念仏唱えて悪霊退散してやっから心配すんな♪」

 コレでも俺、仏校卒業生だぞ~と、縋るオレを抱き締めて優しく頭を撫でてくれるマスターの目は、明らかにオレの反応を楽しんでいるようにしか見えなかった。






 ……マスター、俺が気絶しちゃったら、後のことはお願いしますね?






 そう、マスターの腕の中で小さく呟いてしまったオレを責められる人は、多分いないと思う。


 だって、本当にオレはあれ以来、怖いものが大嫌いになったのだから。




                                    [後編に続く]


 スミマセンスミマセン終わらなかったぁぁぁぁぁ~~~~
 前半のラブラブ具合がこの話ですべて台・無・し♪\(^0^)/























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