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終わったぁぁぁぁぁぁ!!!!
―――サイトに上げる分だけショボ━(´・ω・`)━ン


ということでマスカイSS後編ようやく上げます。
不意打ち更新て素敵。


 マスターの右腕に絡みつくようにしながら、マスターが持つ懐中電灯の小さな明かりを頼りに、静かで不気味な雰囲気漂う道を進んでいく。
 あまりにも辺りが静か過ぎるからか、サクサクと土を踏む二人分の足音さえ大きく響いて、俺はブルブルと肩を震わせながら更にマスターに縋り付いた。




「ま、ますたー…手、離さないで下さいねぇ~」


「あ~ハイハイ。ってかそんなに強くしがみ付かれてたら、離したくても離せねぇって」




 そうですねわかってます。でも離れられないです。
 だって暗いし細い道の両脇に立ち並ぶ四角い石…お墓はなんだか不気味だし、もしもココで置いていかれたら即、強制終了する自信あります。
 そうやって半涙目になりながらもココから逃げ出さずにいるのは、マスターがあれほど自慢する桜とはどんなものか、この目で見たかったからだ。
 マスターが綺麗だと思うものを見て、俺も『綺麗』だって感じたかった。マスターが好きなものを、少しでも共有したかった。
 そのためだったら、もうちょっとだけ頑張れた。




 ―――あくまで、『もうちょっと』なんだけど。




 
「もーちょっとで着くから頑張れ」

 するとオレの思考を読んだのだろうかと勘繰ってしまいそうになるくらい、絶妙なタイミングでマスターにそう励まされる。
 ううう、これがマスターたる所以てやつですか?

「は、はいぃぃぃぃぃ~」

 でもそういえば、もうちょっとって一体どのくらいの意味なんでしょうかと頭の隅で思ったけれど、質問する心の余裕すらなくて、モウチョット、モウチョット~と小さく呟きながら、顔を俯かせ薄暗い地面と自分の足先をひたすら見つめる。
 もちろん、怖くて前方を見る勇気なんて無いからだ。

「桜の前には灯篭……あ~でっかい懐中電灯みたいなやつだ、まぁそれがあるから暗くないぞ。ココ高台だから見晴らしもいいし。そしたらメシにしような?お袋のかんぴょう巻は絶品だぞ~玉子焼きも甘いのにしてもらったからな」

「ふぁいぃぃぃぃ~」

 ご飯を食べる余裕なんて、今のオレに果たしてあるんだろうか?
 あ、でも甘い玉子焼きにはちょっと心惹かれる。
 お母さん直伝というマスターの作る甘い玉子焼きはとても美味しいから、きっとマスターのお母さんが作る玉子焼きもすごく美味しいに違いない。









「って、ことで到~着。カイト、もう墓場抜けたから大丈夫だぞ」

「ほ、本当ですかぁ?」

 ポンポンと頭を叩かれて顔を上げろと下されるが、極度の恐怖と緊張で素直に応じる事が出来なくてつい聞き返してしまうと、マスターは呆れたような声を上げた。

「あのな、ここで嘘言ってどうすんだよ」

「……だってマスター、たまに意地悪します」

 特に例の映画観た日から、よくオレのこと怖がらせて揶揄ったりするようになった。それにさっき見たマスターの顔は、明らかに楽しんでいたし……嘘を吐かれている可能性は、ゼロとは言い切れない。
 暗にそういう意味を篭めて言うと、マスターは一瞬動きを止め、それからそうかそうかと何度も頷くと。

「よく言った。帰りは縋りつき却下

「ヒヤァァァァァ嘘ですぅぅぅぅぅ!!!!」

 暗くて細くて不気味な道を俺一人で歩いて通るなんて、とってもじゃないが出来そうに無かった。途中で強制終了してしまうコトだって十分ありえる。
 あまりにも非情なマスターの言葉に、オレは反射的に顔を上げて叫んだ。

 












―――その、視線の先にあったものは幽霊なんて怖いものではなく……











「…………っ 、」



 声も、出なかった。
 呼吸をすることさえも惜しくて、息を詰めて目前に広がる光景に魅入ってしまう。







「綺麗だろ?あれが、ウチ自慢の桜」


 いつもは直ぐ近くに聞こえるマスターの声さえ、このときのオレには遠くに感じた。

 ボーカロイドのオレにとって、マスターは絶対の存在。

 直ぐ近くにいる主人の声がちゃんと聞こえないなんて、普通ならば絶対にありえないことで、下手をすればシステムの異常である可能性さえあるのに、オレはそんな事さえ気付かなかった。













 眼前に存在していたのは、一本の老木だった。



 左右に箇所に設置された石造りの灯篭(というらしい)の明かりに照らされたそれは、まさに『幻想的』という言葉がしっくりきた。
 幹は衰え、皮が剥がれ落ち、今にも朽ちてしまいそうな見掛け。
 そこから伸びる枝は細く長く……しかし弱々しい雰囲気は何処にも無く、むしろ幾年つきを重ねたものだけが持つ、力強ささえ感じる。
 その枝を淡く彩る、薄紅色の花の群。
 一つ一つはとても小さく儚ささえ感じるのに、こうして群れを成して一斉に咲き誇る姿はいっそ圧巻で、テレビで見たピンク色の可愛らしい桜とは違い、不思議な色香さえ感じた。














「……コレが、さくら……」



 桜を見つめたまま、感嘆の息と共に小さく呟く。

「ああ。コレだけ立派な桜は早々お目にかかれないぞ。と言っても、この桜の存在は俺ら家族と、あとは近所の人達くらいだけどな」

 これだけ立派な桜なのだ。有名になっていてもおかしく無いということくらいは、オレにも判る。けれど、この桜の存在は一部の人達しか知らないという。

「そう、なんですか?」

 そこでようやく、桜からマスターに視線を移して……あることに気付く。
 マスターの腕に縋り付いていた筈のオレは、いつの間にかマスターに抱き締められるような体制になっていた。

「祖父ちゃんが祖母ちゃんの次に大事にしてた桜だからな。多分丹精篭めて育てた桜を、名前も知らない他人に荒らされたくなかったんだろうさ」

 なんせ戦時中でも守り切ってやったって自慢してたくらいだからな、と笑いながらさり気ない手つきで指先で顎下をなぞるように撫でられ、ピクンと勝手に肩が跳ねてしまう。

「そんな、大事な桜を……わざわざ俺に見せてくれたんですか?」

 お医者さんらしい、長く繊細な指から生み出される小さな快楽を受け止めながら、本当にそれで良かったのかと水分を含んだ瞳で見上げると、マスターは穏やかに笑って頷く。


「お前はオレの大切な家族だから」




 血の繋がりも無い。

 それどころか異性でも、人同士ですらないけれど。

 愛しくて大事なお前に見せてやりたかった。





 この桜に、お前のことを紹介してやりたかった。






「さっきも言ったように確かに出会いは成り行きだったが、俺はお前に出会えて……お前を愛せて、本当に良かったと思ってるんだぞ?」

 そう言って、舞い散る花びらのように軽いキスを、唇に落とされた。

 唇に感じる、マスターの体温と……それに篭められた思いが、伝わって。



「っ  、」



 あ、駄目だ。



「あ、こら泣くな。俺はお前の涙に弱ぇんだからっ」

「だっ…、て……オレ……っ」



 嬉しくて。

 すごくすごく嬉しくて。

 さっき憶えた、嬉しくても出る涙が、また両目から零れ落ちてしまう。




「あ~も~、俺はお前を泣かせるためにココに連れて来たわけじゃないんだぞ?
ホレ、アイス食うか?お前の好きなリッチミルク」

 一向に止まらないオレの涙を必死に袖で拭いながら、肩に掛けていたクーラーボックスから見慣れたカップを取り出して俺の前に突き付ける。

 確かにリッチミルクは大好物だけど……



「ますた……、雰囲気が台無しです」

 泣き出してしまった俺も悪かったですけど、今のって世間で云う『イイ雰囲気』ってやつだったのでしょう?
 そこは泣くオレを抱きしめて、何度もキスをくれる場面じゃないですか?
 少なくともこの間見たドラマでは、男性はそうしてましたけど……



 もう止まらない涙はそのままにして、主に向けて笑顔を向ける。

 マスターはオレのさっきの何気ない一言に少なからずショックを受けたらしく、硬直していた。








「……マスター、」









 でも、そんな貴方が――――オレは大好きです。






                                       2008.04.15 AK


 とりあえずサイトではココまで~
 この後のエロシーンはオフにて……いやほら、ここ一応全年齢対象ブログサイトだから♪
 




















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