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お待たせしました新作です。
調子に乗って本日連続更新。

今回画面上にはいますが、あんまり兄さんの出番は無いです。
むしろ下の三人が出張りまくり。


ただし最強の方に全部持ってかれてますが(笑)
 ギュ、ギュ、まぜまぜ。

 ぎゅ、ぎゅ、まぜまぜ。




 今日も今日とて、ぼかろ家長男カイトは主夫業に精を出している。
 最近は少しずつ本業の仕事も増えてきたのだが、どうやら彼にとっては家事をこなすことが日々のストレス解消に繋がっているらしい。
 笑顔で洗濯物や布団を叩いている姿など、お手伝いを挙手するのも憚れるくらいだ。


 そんなカイト兄さんだが、最近また一つ家事に何かを加えたらしい。


 決まって朝と夜。
 時間はまちまちだが、必ずキッチンにこもって何かをしている。
 しかも鼻歌交じり。
 更に耳を済ませると、鼻歌に混じって何かに話し掛けているような声まで聞こえてきて、弟妹達はそんな長男の様子に首を傾げていた。










「なぁ、あれって何だと思う?」

「お兄ちゃんに独り言呟くクセってあったっけ?」

「でもアレは明らかに誰かに話し掛けてるよ?」

 壁の陰に隠れ、割烹着に身を包んだ兄の背中をガラス戸越しにジッと見つめる弟妹三人。
 その間もカイトはキッチンの作業台で何かをしながら、小さな声でブツブツと呟き、また鼻歌を始めている。

「もしかして……ウチって古いからアレが出たりしちゃってるのかなっ!?」

 そんでもって、兄さん鈍いから気付かずに普通に話し掛けちゃってるとか!

 いくらカイトでも、自分達の家に見知らぬ存在が居たら悠長に話し掛けたりしないと思うのだが、妹二人は気付いていないらしい。
 単なる想像に過ぎないというのに、二人は勝手に怖がり始め、抱き合ってガタガタと震える。

「エエ~!?やめてよ~夜中におトイレ行けなくなっちゃう!」

「あたしだってイヤだよぉ~!」

「不吉な想像はやめよう!私達の精神衛生上良くない!」

「賛成!」

 女の子陣の意見により、幽霊の可能性はあっという間に棄却された。




 そんなわけで、振り出しに戻る。

「あ~じゃあさ、幽霊の類じゃないとすると…カイト兄一体誰に話し掛けてるんだろ?」

「それがわからないから、こうして皆で観察してるんじゃない」

「そりゃそうだけど……」

 わかんなきゃカイト兄本人に訊けばいいんじゃないだろうか?というレンの意見は、すぐさま却下された。

「駄目、駄目だよ!もしかしたらお兄ちゃん何か人には言えない悩みがあって、その鬱憤がああやって独り言になっちゃってるのかもしれないしっっ」

「流石にそれは有り得ないんじゃ…、」


「「有り得ないことなんてありえないっっ!!」」


 この世にはまだまだ説明出来ないことなんてたっくさんあるんだよ?
 そう簡単に『有り得ない』なんていっちゃダメ!
 それに第一相手は、

「「あのカイト(お)兄(ちゃん)なんだから!!!」」


 ……カイト兄、一体この二人に普段どんな風に思われてんだ?


 見事なユニゾンで断言され、そう疑問を抱かずにはいられないレンだった。


「アンタ達、こんな薄ら寒い場所でなに騒いでるの?」

 そんな感じで議論を繰り広げる三人の下に、キッチンへ酒を取りに来たメイコが通り掛った。
 すっかりくつろぎモードなのか、七分丈のスウェットにTシャツという、かなりラフな格好だ。出てきたのが自室ではなくマスターの部屋からということは、これから二人で寝酒でも楽しむつもりなのだろう。

「あ!メイコお姉ちゃん!あのね、お兄ちゃんがなんかヘンなの!」

「あの馬鹿が変なのは、今に始まったことじゃないでしょ」

 メイコのあまりにも身もフタも無い返答、しかも即答に、本当にカイト兄って……とレンは長男に同情の念を送らずにはいられない。

「確かにいっつも変だけど、変って言うかむしろ異常なの!」

「……はぁ?どこがどう異常なのよ?」

 コトの次第によっちゃ、マスターに言って解雇してもらわなきゃいけないかしらと、サラリと不吉な事を口にするメイコに、弟妹三名はゾッと顔を青褪めさせた。
 別に兄をアンインストールしてもらいわけでは無い。
 ようはこの疑問が解消されればいいだけなのだ。

「え、えと…解雇はともかくとして、最近お兄ちゃん、キッチンにこもって誰かに話し掛けてるの!」

「しかも、誰もいないのに!」

「電話してるとかじゃなくて?」

「両手使ってなんかしてるから、多分電話じゃない」

 この家の電話は少々古いタイプなので、ハンズフリー機能は無いのだ。
 マスター曰く、『こんな古い家に最新式の電話機置いたら興ざめだろうが』らしい。
 なんだかんだいって、この家を心から愛しているマスターだった(影薄いけど)

「それは……確かに異常ね。此処に来て結構立つけど幽霊の類には一度もお目にかかったこと無いし」

「「それはイヤアァァァァァァッッッ!!」」

 姉の何気ない呟きに、堪らず妹二人が叫ぶ。
 そんな妹達の過剰なまでの反応に、メイコはハイハイと宥めながら苦笑を零すと、フムと指を顎に掛けた。

「そんなに気になるなら、いっそ私が訊いてくるわ。手っ取り早いし」

 あとお酒も取りに行きたいしね、と言ってキッチンへ歩き始めるメイコを、ミクは慌てて止めようとする。

「だ、ダメだよお姉ちゃん!もしかしたらお兄ちゃんに何か悩みがあるからかもっ、」

「悩みがあるなら、それこそとっとと吐かせて楽になってもらった方がイイでしょ?とにかくメイコお姉さまに任せなさい♪」

 あ、これは絶対楽しんでるだけだ。
 
 明らかに楽しげな表情にウインクまで付けられてしまえば、そう悟らずにはいられない。
 ついでに言えば、そんな長女を止められる存在はこの家にも、外にも居ない。






「お兄ちゃん……再起不能にならなければいいけど」


「そしたらそしたであたし達で慰めてあげようよ!」




 余計凹むんじゃないだろうか……そんなレンの呟きは、誰にも聞かれることはなかった。


















 で、散々周囲を心配させたカイトの謎の行動の正体はというと―――



「近所の佐藤さんにね、ぬか漬けの作り方教えてもらったんだ~♪せっかくだからぬか床から自分で仕込んで、美味く出来るようになったら食卓に並べようと思ってたんだけど、なんか一回で成功しちゃったみたい」

「え?何で話し掛けたり歌ってたのかって?なんかよくわかんないんだけど、そうした方が美味しく漬かるんだって。美味しくなれ~美味しくなれ~って、オマジナイみたいなものかな?」

 そう言ってぬか漬け独特の若干酸味を帯びた臭いを纏わせ、漬物用の容器片手にニコニコと上機嫌でメイコに説明していた最強主夫がいたとか。











 ちなみにそのカイト作ぬか漬け第一号は、その晩のマスターとメイコ姉さんの酒の肴になりましたとさ。
 

                                        2008.04.21 AK



こんな話書いといてなんだが、私はぬか漬け苦手だったり




















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